東京で「副校長」のなり手が足りない深刻事情 業務量・内容、責任・・・教員は敬遠するばかり

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東京都も手をこまぬいているわけではない。主任教諭歴2年以上、44歳未満で受験できる「A選考」で、若手にも管理職にチャレンジする機会を与えているが、2017年度の選考からさらに枠を広げた。

「B選考」は、これまで主幹・指導教諭で39歳以上54歳未満を対象としていたが、主任教諭であっても経歴2年以上、46歳以上54歳未満であれば受験できるようになった。また、主幹・指導教諭歴が合わせて3年以上で50歳以上58歳未満のベテランが対象の「C選考」は、推薦制に加え一般受験での申し込みも可能になり、年齢も60歳まで拡大された。

管理職手当を8400円上乗せ

都内12校ではモデル事業として、調査などの事務作業や電話応対などで副校長をサポートする非常勤職員を設置。さらに現場の士気を高めるため、管理職手当も今年度から1カ月8400円上乗せし、8万0700円とした。

東京都教育庁人事部教職員任用担当の相川隆史課長は、「これまで、管理職のロールモデルを示すことができていなかったのではないかという反省がある」と話す。

地区の教育委員会を通して、育児が一段落した女性教員など1人ひとりに当たって、受験の呼びかけも地道に行っている。管理職のやりがいや仕事の魅力なども発信し志願者の掘り起こしに力を入れる。その結果、2017年度の小学校のB選考では受験者数が合格予定者数をわずかに上回った。だが中学校については大きく下回っている状況に変わりはない。

どうすれば副校長を目指す教員が増えるのか。東京都の苦悩は深い。

『週刊東洋経済』9月11日発売号(9月16日号)の特集は「学校が壊れる 学校は完全なブラック職場だ」です。 
中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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