北朝鮮問題で今後起こりうる3つのシナリオ

武力衝突か直接交渉か、クーデターは薄い

【可能性3】北朝鮮国内でクーデターが起き、金正恩政権が倒れる

しかしこの場合、金政権が倒れたあとの体制がうまくできるか、核兵器をどうするかなどの問題があります。クーデターのシナリオは、現状ではかなり見通しが厳しいとされます。

実際、【可能性1】のピンポイント攻撃や斬首作戦を実行しようとしても、攻撃対象の施設や金正恩がどこにいるのかを、予め正確に特定するのは極めて難しいでしょう。

2011年、アメリカの海軍特殊部隊がウサマ・ビン・ラディンを仕留めることができたのは、潜伏していたパキスタンが、表面上はアメリカの友好国であり、アメリカのスパイが多数潜入している特殊部隊が町々に配置され、アメリカが実質的な制空権を握っていたからです。

それを北朝鮮でやって、万一失敗すれば、北朝鮮はすぐさま反撃に出るでしょう。よく言われるように、北朝鮮は、休戦ライン(38度線)に沿って並べている何百門という長距離砲やロケット砲を、一斉にソウルに向けて撃ち込んでくるはずです。

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休戦ラインからソウルまでは最短距離で約40数キロ。長距離砲の射程は30~40キロメートル以上あると言われています。ソウルから仁川にかけては、韓国の人口5100万人のうち、約半数が住んでいます。

そのエリアは北朝鮮の射程に入っているので、北朝鮮の反撃で韓国の数百万人の命が危険にさらされる恐れがあります。北朝鮮は「ソウルを火の海にする」としきりに威嚇しているので、少なく見ても何百万人もの死者が出るとされています。

韓国が、そんな戦争のGOサインを出すわけがありません。おまけにこの地域には、在韓アメリカ軍やその家族もいるので、アメリカ人にも多数の犠牲が出る可能性があります。つねに「弾劾の危機」にさらされているトランプ政権が、そんな犠牲に耐えられるわけがありません。

イラクでサダム・フセインを探し出せたのは、すでにアメリカがイラク全土を占領していたからですし、リビアの最高指導者カダフィが殺害されたのは、NATOの空爆によって国が完全に破壊されていたからです。

アメリカ軍が、同じような作戦を北朝鮮で実行しようとしても、あいまいな情報しかないなか、中東のように容易に特殊部隊が潜入できる状況とは思えません。

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