周りを「経験だけ」で説得することは無謀だ 経験を咀嚼して、相対的に見るべき

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短期留学での経験をきっかけに感じた思いをどう仕事に結び付ければよいのでしょうか…(写真:tkc-taka / PIXTA)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

高校に入ってからというもの、たちまち1年が過ぎ2年生になり、自分の将来のことについて考えてもうまく進路とつながらず困っております。2年生の夏といえばオープンキャンパスです。単刀直入に言うと、そこで、自分がどこの大学のオープンキャンパスに行きたいのか、決まっていません。しかし、単に将来がまったく決まっていなくて不安に感じているということではありません。
私は今年の2月にフィリピンに短期留学(1週間)に行きました。内容からいうと、貧困層の子どもたちの教育環境を肌で感じる国際交流、私立と公立学校の違い、また、JICAのゴミ処理施設の見学です。
私はこの研修で何度も自分を見つめ、深く考えさせられました。貧困層の子どもが世界にいる。この事実がどれほどのことなのか、実際に見える貧富の差がこんなにも大きく、貧しくても一生懸命生きている子どもたち。ニュースや新聞で見ているようで、本当の意味で見えていなかった世界の現状。私はこんな自分自身にひどく落胆しました。
また、一方でフィリピンの人の社交的で笑顔を絶やさない人間性、先進国といわれる日本に欠けている、日々の生活への感謝と勉強への向き合い方。あんなに熱い気持ちになったのは初めてでした。今すぐにでも解決しなければならない問題は山のようにある。しかし、いったい自分はその問題にどのようにかかわっていけば解決につながるのか? 自分の将来と重ねて考えても答えが出ません。また、何をしようにも世界規模の大きな力が必要だと思いました。このまま何もできない、そんな無力感と、自分が日本で暮らしていることに罪悪感を感じます。この研修に行く目的として、自分は今後の将来のために何か1つでも学んで持ち帰り、日本でこの研修を意味あるものにしたいと思っていました。
私はなにを得てきたのだろうか? 自分を見つめ直す機会でしょうか。物事を違う角度から見ることができるようになったことでしょうか。私は自分が恵まれた環境で生活しているのを再認識したこと。そして、将来、この人たちを助けたいと決意したこと。ボランティアは継続していくものではない。ボランティアはいつかなくならなければならない。貧困層の人たちに支援ではなく変化を与えなければならない、と思いました。
また、私は日本に帰ってきてから、私はこの研修を家族友達に伝えるときこのような壁とぶつかりました。自分の思いを本当にあの熱い衝動とともに共感してほしい。
私たち日本人は責任がある立場にいると思います。だからこそ、勉強は必死にやる必要があります。勉強をしたいと望む世界中の子どもたちが満足に勉強できる世界をつくる! この、一助となるために。将来私はどのようにこの思いを仕事に結び付ければいいでしょうか? 人生設計についてやアドバイスをください。感想でもうれしいです。よろしくお願いします。
高校生 友野

具体的経験はあるのに伝えられない

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高校生という若いうちに非常にいい経験をされましたね。自分が常識だと思っていることと対極の体験をすることは、どんなことであれ自分自身の日常を客観視できるという意味において非常に大切なことです。高校生という若いうちに、そういった体験をした友野さんにはぜひその今の気持ちを忘れずに、今後の人生を歩んで行っていただきたいと思います。

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