東京で車いすの不便さをトコトン考えてみる 恵比寿の街で健常者が実際に試してみた

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最後にお話ししてくださった聴導犬ユーザーの辻さんの言葉が身に沁みました。

辻さん:障がいがある人もない人もこうやって話し合えることがすばらしいことだと思います。これからもみんなに「補助犬」のことを考えてもらいたいです。よろしくお願いします。

実はこの後、皆さんで打ち上げに。そのとき聴覚障がいのある辻さんがこんなことを言ったんです。

辻さん:視覚障がい者の方と聴覚障がい者のコミュニケーションはどうすればいいのかな?

というのも聴覚障がい者の方と視覚障がい者の方のコミュニケーションはとても難しいんです。

なぜなら、聴覚障害者には音が聞こえないし、視覚障害者は手話などが見えないからです。

「筆談かな?」という声に視覚障がいのある須貝さんがこう答えました。

須貝さん:実は書くことも難しく、残念ながらそれを見ることもできないんですよ。「でも……」、「ペンありますか?」と言ったんです。

 

須貝さんは30歳のときに視力の大半を失いました。

「何年ぶりに字を書くんだろうなぁ~」

と言って書いた言葉が「辻さん。愛してるよ♡」というメッセージだった。

伝えたい想い

障がい者であろうと健常者であろうと「伝えたい」という想いがいろんな困難や障壁を飛び越えて「伝わる」ものなんだなと思いました。

須貝さん:障がい者が「生きづらい」って思ってるかもしれませんが、普通に五体満足の人だって生きづらいって人いるでしょ。みんな一人ひとり「ちがう」んですよ。

(写真:恵比寿新聞 長澤苗、GARDEN 井上香澄

映像:GARDEN 堀潤)

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タカハシ ケンジ 恵比寿新聞編集長

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たかはし けんじ / Kenji Takahashi

1975年奈良生まれ。恵比寿を題材としたWEBマガジン「恵比寿新聞」を2009年に立ち上げる。広告収入型メディアからの脱却を目指し地域応援型プロジェクトメディアを確立。恵比寿ガーデンプレイスに知識を共有するパブリックスペース「COMMON EBISU」や未来型図書館「感想文庫」をプロデュース。恵比寿の街の情報以外にも、新しい近所付き合いを提案する「恵比寿じもと食堂」や、渋谷区初の地域子育てコーディネーターとして2016年から渋谷区非常勤職員として従事。2015年には上智大学非常勤講師として「異文化の視点とジャーナリズム」を教える。

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