高齢者の虫歯が悪化しやすく危険すぎるワケ すぐに治療しないと別の病気を招く場合も

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抜歯や麻酔などの治療を受けなくてはならなくなる

初期の虫歯なら麻酔を行わなくても簡単に治療をすることができます。ですが、虫歯が進行していると、麻酔が必要になったり、抜歯しなくてはいけなくなったりするでしょう。

麻酔も抜歯も体に大きなストレスを与えるものです。また、何らかの疾患を抱えて治療を受けていたり、服薬したりしている人は、麻酔治療によって悪影響が出てしまうことも考えられます。

高齢者が虫歯治療をすることで得られるメリット

早期に虫歯を発見し、早期に治療することで、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、糖尿病、肺炎などの最悪の場合は死に至る病気のリスクを軽減することができます。また、抜歯や麻酔などの治療を受けずに済むこともあります。

ですが、高齢者が早めに虫歯治療することのメリットはそれだけではないのです!

アルツハイマー型の認知症予防

「かむ」ことで刺激が脳に伝達され、学習能力と切り離せない伝達物質・アセチルコリンを増やすことができます。アセチルコリンの量が減少すると、アルツハイマー型の認知症を引き起こすこともありますので、かんでアセチルコリンを増やすことはアルツハイマー型認知症の予防にもなるのです。

かむためには歯が健康で、痛みや不快感がないことが必要条件になります。虫歯を早めに治し、何でもかめる状態にすることが大切といえるでしょう。

脳血管性認知症の予防にも

認知症には、アルツハイマー型と脳血管性型があります。脳血管性の認知症は、脳の血管が硬化することで引き起こされますが、虫歯や歯周病によって動脈硬化が進行していると脳血管性の認知症にもなりやすくなるのです。

動脈硬化を予防するためにも、早期の虫歯治療・歯周病治療が必要です。アルツハイマー型認知症も脳血管性認知症も、虫歯と歯周病治療で罹患リスクを下げることが期待できるでしょう。

年齢を重ねると、認知症や糖尿病、動脈硬化など気になる病気や症状が増えていきますので、「虫歯くらいは気にしなくてもよいのでは?」と考えるかもしれません。ですが、虫歯が入り口になって、肺炎や心筋梗塞などの生命を左右する病気にかかってしまうこともあるのですから、敏感すぎるほど敏感になっても損はないのです。

歯に痛みなどの違和感を覚えたとき、歯茎が腫れたとき、歯茎がいつもよりも赤みが強いときは、迷わず歯科医院へ。口臭が強くなったと感じることも虫歯のサインの可能性がありますから、すぐに歯科医院で適切な治療を受けるのが望ましいでしょう。

小林 保行 歯科医師/キーデンタルクリニック院長

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こばやし やすゆき / Yasuyuki Kobayashi

2004年東京歯科大学歯学部卒業、表参道の総合歯科医院に勤務。2006年市谷の歯科医院にて副院長として勤務。2008年に赤坂見附駅から徒歩1分の場所にキーデンタルクリニックを開院しました。開院以来、「確かな技術で納得の治療を」モットーに、あごや歯の場所を細かく分析をし、歯だけでなく口回りを総合的に診断。現在はムシバラボというサイトを立ち上げ、歯や口周りの情報を発信。主な資格はDHA岩田セミナー認定医、総合治療セミナー「一の会」認定医、クリアアライナー矯正認定医、日本顎咬合学会所属、日本インプラント学会所属、消防庁認定、救命技能講師修了。

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