ABCマートとライトオン、地方郊外店でタッグ バイトの採用やシフト管理も共同で実施

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両社はショッピングセンター内に隣同士で出店することがあるなど、もともと関係は深かった。共同店舗は1フロアで展開していたライトオンの売り場を縮小させ、そこにABCマートがライトオンに賃料を支払い入居する。1つの入り口から2つの異なる店に入ることが可能になる。

共同出店は出店コストの抑制以外にもメリットがある。1つ目がチラシやCMなどの販売促進面の効果だ。地方ではチラシや地元テレビを通じたCMの放映が一般的。その広告宣伝を2社共同で行う。

共同でセールも実施

「ライトオンさんと当社、どちらかの告知を見てお店に来てくれたらうれしい。単独でチラシを打つより効果が見込める」(ABCマート)。販促面でいえば、一方がセールを打つだけでも集客効果が見込めるし、今後共同でセールを行うこともあるという。

東京・銀座にあるABCマート店内。都心店は1万円近い高単価品が好調。しかし地方へそのノウハウをそのまま持ち込むことはできない(撮影:今井康一)

店舗運営面の効果もある。共同出店する砺波店では、ABCマート、ライトオンそれぞれに店長はいるが、アルバイトなどのスタッフの採用やシフトを共同で管理し合うことを想定している。地方で特に深刻化する人手不足対策にもなるのだ。

今回の事例がうまくいけば、費用を両社で折半して、大型ロードサイド店を共同で出店することも検討しているという。

売り上げの下位店であっても店舗運営費が都心に比べて安いため、ABCマートの地方店の大半は黒字を確保している。そのため閉店対象にはならないが、同社は打開策を検討し続けていた。

今後の人口減少を考えると、1社単独での出店や店舗運営はリスクが高まっていく懸念もあった。靴の専門店とカジュアルウエアの専門店。ありそうでなかった組み合わせが、ロードサイド店の再生に向けた意外な化学反応を起こすかもしれない。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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