取引が急拡大する「チケットキャンプ」の功罪

チケット「高値転売」目的購入の根深い問題

プレミアム会員とは、「本人確認済み」であることが絶対条件で、チケキャン側で選んだ対象者に招待状を送る形をとっており、なりたくてなれるものではない。チケキャンはプレミアム会員の選定基準として「ほかの売り手の模範となるような丁寧で親切な取引を提供している」こと、具体的には「トラブルが少ない、買い手に対して親切、規約を守っていること」などを挙げている。

筆者の経験では、ゲッターは基本的にいい席を出品しているし、対応も迅速で丁寧で親切だ。朝7時に落札しても、夜中の2時に落札しても、5分以内にリアクションがあった。チケットの送付も素早い。連絡も密で、まさにプレミアム会員の資格と合致する。

プレミアム会員は売り手が負担する通常8.64%の手数料が1%程度割引になる。チケキャン側は「手数料を安くする分、買い手がより安く買えるようにと考えての判断」だというが、その期待どおりに行動するかどうかは売り手次第。さらに、チケットの郵送手段はレターパックプラスを基本としているので、送料を買い手負担で取引する場合は510円かかる。だが、追跡が可能だからという理由で392円の簡易書留も容認しており、差額の118円は買い手は請求できないことになっている。1年間に1000件以上の取引をしていれば、郵便料金の差額だけで年間約12万円の利益になる。

チケキャンはあくまで「買い手が安心して取引できるプラットフォーム」を目指した仕組みであり、転売屋への優遇を意図しているわけではない、というスタンスだ。目指した目的が達成されているのは間違いないが、そこに出品されているチケットの多くは、本来の目的で買おうとした人からゲッターが買う機会を奪ったものだ。

チケット転売市場の環境変化が進んでいる

だからこそと言うべきか、転売市場を取り巻く環境は急速に厳しさを増している。1つは捜査当局の動きだ。今年6月、人気ロックバンド「サカナクション」のライブチケットを転売目的で不正入手したとして、43歳の無職男性が詐欺容疑で逮捕された。販売者は転売を禁じているのに、転売目的であることを隠して購入したことが詐欺にあたる、という解釈だ。この男性の場合、ファンクラブに48口分加入し、98枚のチケットを購入したという。

従来、高値転売の違法性を問う根拠は、都道府県の迷惑防止条例違反か、古物営業法違反に限られていた。前者はダフ屋行為を取り締まるもので、「不特定の人に転売する目的で(目的要件)」「公共の場所もしくは乗り物で(場所要件)」「うろついたり人につきまとうなどして(行為要件)」買う、もしくは売る行為を指す。3要件そろわないと取り締まれない。

現状、ネット上は公共の場ではないので場所要件を満たさないが、コンビニは公共の場だから場所要件を満たすという解釈が定着している。今年5月に「EXILE」のコンサートチケットをファンクラブ先行予約で大量に購入、高値転売した23歳の男性が逮捕されているが、その容疑は東京都迷惑防止条例違反だった。代金を支払った場所がコンビニ、つまり公共の場だったため、「ダフ屋行為」で網をかけたわけだ。

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