「はらぺこあおむし」で子供は宇宙万物を学ぶ

絵本だが、大人が読んでもやっぱり名作だ!

『はらぺこあおむし』でも、あおむしも蝶も太陽も、とても大胆な色の使い方をしています。まさに情熱とエネルギーに満ちた色使いです。エリック・カールの色の使い方は、色彩の持つ力を確信している人のものです。

それでは、最初のページを見てみましょう。お月様に照らされた葉っぱが描かれています。よく見るとその上に小さな点があります。「あれ? これはなんやろ」と目に止まります。

「おや、はっぱの うえに
ちっちゃな たまご。」
おつきさまが、そらから
みて いいました。
(『はらぺこあおむし』6ページ)

 

葉っぱの上にあるのは、あおむしの卵です。この小さな点から、すべてが始まります。これは将来、子どもが宇宙のビッグバンを勉強するとき、最初に特異点(重力の固有の大きさが無限大になってしまう点)があったという話につながるかもしれません。

『アルファ』(イェンス・ハルダー、国書刊行会)というおもしろい本があります。全3巻で、万物創生宇宙、地球、生命の歴史を絵だけで描こうとした本です。138億を描くということで、1巻だと、まだ恐竜の時代ぐらいまでしか描いていません。この本の始まり、最初のページも同じように、点が1個です。この卵よりもっと小さい、その点1個がすべての始まりなのです。そこから、ビッグバンが起きて、宇宙が始まり、生命も始まる。

子どもは最初、大人に読んでもらったとおりに、ただ絵と言葉を覚えているだけかもしれません。でも何かの拍子に、記憶と現実がつながることがあります。あの絵本も点1個から始まったな、というように。それが何年後のことかはわかりません。だけどそれで、世界の理解の仕方が立体的になり、重層的になり、ループ状につながっていきます。目の前の事実と子どものころの記憶がつながるという体験を積み重ねることで、考える力は強くなるはずです。

小さな子どもでも時の流れを感じられる

さて、『はらぺこあおむし』の内容に戻りましょう。その前のページには、小さく太陽が描かれていました。昼があって、夜がある。その次のページをめくると、今度はまさに太陽が大地から昇ってくるところです。その脇に小さいあおむしがいて、小さな子どもでも時の流れを感じることができるでしょう。

人間が時間を意識するようになったのは、太陽があったからです。昔は電気も何もないので太陽が沈んだら真っ暗になってしまいます。人間は、まず太陽が昇って1日が始まると考えました。そして太陽が沈んで1日が終わる、と。そこで1日という概念ができました。太陽の光がだんだん強くなって、夏至にピークを迎え、しだいに弱くなっていきます。そして冬至がきて、それで1年という概念ができました。

したがって、1年や1日という概念は、太陽からきています。これは太陽暦です。でも、1年と1日の間が長すぎるので、どうしようかと考えたら、お月さまがありました。太陽に次いで大きいのは月です。その月の満ち欠けがちょうど30日前後で1周するので、これを1カ月としました。これが太陰暦です。

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