「言い訳が多い中国人」の心理学 むしろとてもグローバルなその思考と行動

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中国人とアメリカ人は「うり二つ」

今回のコラムで中国人の特徴を紹介しようとして思い当たったのは、上記の「アメリカ人」というところを「中国人」に置き換えてもほぼそのまま通用する、ということです。

たとえば文句や言い訳が多く反省しない、という特徴。朝遅刻したことを注意すると、必ず「雨が降って道路が渋滞した」などの言い訳をしてきます。北京の中心部が朝渋滞するのは当たり前ですから、特に雨が降ったときには早めに家を出るのが日本人の常識ですし、仮に遅刻した場合でも聞き苦しい言い訳は控えるものです。こうした言い訳は、宿題を忘れたことを教師に叱責された生徒が「犬が食べちゃったんです」と言い逃れようとする、アメリカンジョークを思い出させます。

中国人が、自国内ならまだしも海外旅行先で例の「カーッ、ペッ!」をやってひんしゅくを買っているのは事実ですが、アメリカ人だって唾を吐き散らす人はいます。テレビで大リーグ中継を見ていると、メジャーの選手たちがプレー中やダグアウトの中で、あたり構わず唾を吐いているのが見えてしまいます。日本人の感性では、競技場は鍛え上げた心技体をぶつけ合って相手と真剣勝負する場ですから、塩をまいて清めることはあっても、唾を吐き散らすなど到底ありえない行為です。「常識」とか「価値観」とは、国や人によってこれほどまでに隔たりのあるものなのです。

実はみんなが「グローバル」?

中国人とアメリカ人の思考や行動の共通点を考えていると、こうした特性はインド人やフランス人にも当てはまるような気がしてきます。もしそうだとすれば、このような特性はむしろグローバルでは「常識」だということになります。日本人から見るとけしからんことが、日本の外ではむしろ普通であって目くじら立てるような問題ではない、というのはよくあることです。

たとえば、私が日頃、特に社内のマネジャークラスの中国人を見ていて気になるのが、「有用な情報を共有しようとしない」「そもそも隣の部のマネジャーと話もしない」「他人から学ぼうとしない」ことです。ヨコの連携とクロス・ファンクションで組織全体の柔軟性と生産性を高めるのが大事なのだと、何度話をしても変わりません。

彼らにとっては、いつまで勤めるかわからない現在の職場で、会社の全体最適を考えろと言われても得心がいかないのだと思います。あくまで自分のパフォーマンスへの評価を高めることが大事で、そのためには他人の評価は低いほうがよいとすら思っているのでしょう。しかし、彼らから見ると、自分を犠牲にしてでも組織のために貢献する日本人の姿勢こそが不可解でしょう。『反省しないアメリカ人をあつかう方法』の第2章は、「こんな日本人と日本企業もコマリマス…」と題して、逆にグローバル基準から見た日本人の理解しづらい不思議な特質を考察しています。

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