世界シェア計70%、3Dプリンタが開く未来図 注目の海外企業(2) 3Dシステムズ社、ストラタシス社

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もともと、小規模メーカーが乱立していた3Dプリンタ業界であるが、買収・合併が進み、集約されてきている。樹脂を素材とする3Dプリンタで先行しているのは、米国の2社、3Dシステムズ社とストラタシス社であり、この2社のシェアは合計すると世界の市場の70%に上るもようだ(ただ、2012年の売上金額はいまだにそれぞれ3.5億ドルと2.2億ドルであり、メーカーとして特に規模が大きいというわけではない)。

3Dプリンタメーカーは再編・集約の途上

両社が米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書をたどってみよう。両社はいずれも1980年代後半に創業された会社である。それぞれ製造技術の特許を取得し、それを基に事業を展開した。その後、同業を積極的に買収・合併し、規模の拡大を図っており、最近3年間の売り上げの成長は著しい。

さらに2013年に入ってからも、特色のある大手3Dプリンタメーカーを買収し、業容のさらなる拡大を図っている。そして、両社とも、売り上げが伸びるとともに、将来の大きな成長を見込んで時価総額が大きく立ち上がってきている。

2社はいずれも粗利率(売上総利益率)が高い。過去10年間の平均では、3Dシステムズ社の粗利率は45%、ストラタシス社はそれを上回る52%である。2011年までの各年は3Dシステムズ社の粗利率のほうが低かったのだが、2012年は両社とも51%で並んでいる。

機械メーカーで50%以上の高い粗利率を享受しているケースは決して多くはない。たとえば、工作機械用数値制御装置メーカーとして世界トップシェアを誇る日本のファナックも、過去10年平均で50%の粗利率を維持している会社だ。

高い粗利率は製品の価格設定権を有している証左にほかならない。3Dプリンタメーカー2社の売り上げは大きく伸びているが、販売価格を崩してまでシェアを取りにいっているわけではないのだ。

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