AI先生は究極の「個別指導のプロ」だった 「何がわからないのか」を即座に解析

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AIを活用したタブレット教材は、やはり教育ベンチャーの「RISU Japan(リスジャパン)」が年中後半から小学生を対象に「RISU算数」を開発。中学校の数学までをカバーしている。「COMPASS(コンパス)」は小学校高学年から中学生を対象とする「Qubena(キュビナ)」を開発。全国の塾27法人が導入済みだ。

atama plusの教材が高校領域をカバーしたことで、算数、数学については小中高すべての範囲でAI教材が出そろった。いまは塾などでの利用が中心だが、どの企業も公教育への進出を視野に入れている。

教育格差の是正にも

RISU JapanCEOの加藤エルテス聡志さんによれば、教育格差の是正にも、タブレットに組み込まれた「AI先生」は有効だという。

過疎化によって民間の塾がない町村が急増しているが、その一つ、沖縄県与那国町で、加藤さんらは8月末、ある実証実験を行った。

与那国町は2011年、子どもたちの学力向上のために町営塾を開設し、東京の教育ベンチャー「フィオレ・コネクション」と提携。ビデオ会議システムを使って、東大生講師による遠隔ライブ授業を実施してきた。現在は小4から中3まで43人が通うが、遠隔授業では子どもたちの手元や細かな表情がとらえにくく、理解度を正確に把握できないのが課題だった。

今回、RISU算数のタブレット教材で実力テストを実施。同町教育委員会の仲地秀将さんは、大きな手応えを感じているという。

「それぞれの生徒について、何がどこまで理解できているか、どこでつまずいているかが瞬時にわかることに驚きました。このデータを教育委員会や講師で共有して、9月からの授業に生かしていく。今後はぜひ、通常の授業にもタブレットを導入し、子どもたちの学力向上につなげたい」(仲地さん)

(編集部・石臥薫子)

※AERA 2017年9月11日号

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