「広く浅い」人間関係の方が人は幸せになれる

適度の刺激とストレスが幸福のカギ

――家族・親友のような狭く深い関係より、親戚・友人のような広く浅い関係のほうが人の幸せに寄与するというのは面白いですね。

あの研究結果は面白いですよね。普通に考えると、心の通じた親友との密な付き合いのほうが幸福度も高そうに思えますが、統計的には違う。薄い人間関係をバサバサ切っていくような人は幸せ度が下がる。たとえば、立ちを話する顔なじみの店員さんとかがそこここにいる弱いつながりでいい。

そんな関係が広く多くあったほうが幸福度が高い。安心感があるというか、これから先、長く薄くたくさんの人が支えになると感じるほうが幸せなように人間はできてるんですね。多様であれば新しい刺激があり、多様だから小さな差が気にならない。私は私、彼は彼と楽観的になれる。

自分のためより、他人のために使うほうが幸せ

――他人の利益のために行動できる利他的な人は利己的な人より幸せ、という結果も意外でした。

前野隆司(まえの たかし)/1962年生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授を経て現職。『脳はなぜ「心」を作ったのか 「私」の謎を解く受動意識仮説』等著書多数(撮影:尾形文繁)

おカネも自分のためより、他人のために使うほうが幸せを感じるという結果が出ている。人間は利他的なとき、セロトニン、オキシトシンなどの“幸せホルモン”が分泌されるんです。

たとえば電車で困ってる人に席を譲ると、優しい気持ちになれますよね。譲るべきだと思いつつ寝たふりするのは逆にストレスになる。ちょっと頑張って席を譲ったときにほんのりいい気分になる。それが幸せになり、幸せになると創造性も上がり、仕事も好回転する。

無理に寝たふりして罪悪感でモヤモヤしたまま仕事するより、パフォーマンスは上がります。利他的といってもそんな小さなことからでいいんです。落ちていた紙くずを拾ってゴミ箱に入れるとか、ちょっとした利他。利他的だと幸せになり、幸せだと利他的になるという双方向性も確認されています。

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