「独身でいたい」が理解されない40男の苦悩 東京から地元に戻って感じた「家族の重さ」

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東京から地元に戻り、働き始めた相談者の男性。日々は充実していますが、自分が結婚する気がないことを理解してくれない家族に悩んでいます(写真:xiangtao / PIXTA)
女性の育児や仕事など、女性の問題ばかりが取り上げられるこのご時世。
しかし、男だって「男ならでは」の問題を抱えて生きづらさを感じています。男が悩むのは“女々しい”!? そんなことはありません。男性学研究の精鋭、田中俊之先生がお答えします。
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今回の相談
40代の独身男性です。都内のそこそこ有名な大学に受かり、上京。その後大学院に進みましたが、大成せず、数年前に逃げるように田舎に戻ってきました。今は地元で働いており、まあまあ充実した日々です。
ただ、困っているのは、一緒に住む祖父母や親がことあるごとに「いつかいい人と結婚してくれたら」と言うことです。自分が結婚に向いているとも思えませんが、結婚していない40代は、この地において“変な人”なのです。
                              朔太郎(仮名)

地方における「結婚するのが当たり前」主義への挫折

まずは落ち着いてください。

いわゆる団塊ジュニアを含むいまの40歳代は、その数が膨大ですので、競争の激しい世代だと言えます。例えば、受験一つ取っても、都内の有名な大学に合格するのは、簡単なことではありませんでした。

その上、40歳代前半の人々が大学を卒業する1990年代後半は、ちょうど不景気が重なり、就職氷河期が訪れました。ただでさえ数が多いのに、経済的な理由で入り口が狭まったので、少なくない若者が就職で挫折しました。1990年代における若者の就職難は、現代でも中年の非正規雇用という深刻な社会問題として尾を引いています。

朔太郎さんの場合、大学受験においては難関を突破し、大学院にも進学されています。確かに、数年前には「逃げるように田舎に戻った」のかもしれません。しかし、地元での仕事が充実しているご様子です。

朔太郎さんの現在の状況をもって「十分に恵まれているのに」と言うつもりはありませんが、悲観するほどの悪い状況ではないはずです。それにもかかわらず、「いつかいい人と結婚してくれたら」とご自身の結婚を諦めていない家族の姿勢に、なぜ挫折感を抱いてしまうのか。これを先に考えてみます。

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