「マナーの悪い外国人観光客」を冷静に考える

「観光税」と「行政対応」のセットで対処しよう

しかし、私は「運」だとは思いません。先ほどの「マナーの悪い中国人観光客」を目にする機会が圧倒的に多いのと同じで、私は一般の方よりも新幹線を利用する機会が極めて多いので、それだけ「マナーの悪い日本人」に出会う回数が多くなっているのです。

「価値観の違い」を軽視し偏見を助長するマスコミ報道

そして、この「マナーの悪い人に出会う確率」と同じく冷静に考えなくてはいけないことに、「価値観の違い」があります。

ここからは、イギリス人のマナーの価値観から見た日本人への違和感をご紹介します。もちろん、ここは日本だから日本のルールでいいのですが、日本のマナーは他国から見てどう映るかを考えてみる価値はあります。

日本に28年間暮らしてきた私からすれば、少し前に話題になった「ラーメンやそばなどの麺をすする音」はまったく違和感ありません。私もそばはすすっていただきます。

ただ、日本の男性のなかにかなりの割合でいる、口を開けたままくちゃくちゃと大きな音を立てながら食べるという習慣や、食事が終わった後、シーとすごい音を立てながら「つまようじ」で歯の掃除をする習慣は、これだけ長く住んでいても、いまだに受け入れられません。あまりに耐え難いので、食事の時間帯にはなるべく新幹線に乗らないようにしています。

また、ズルズルと鼻をすする音を割と気にしない方が多いのも、いまだに慣れません。イギリス人は、子どもの頃から親に鼻をすするなと厳しくしつけられます。日本ではあまりよいことだと思われていませんが、イギリスではハンカチで鼻をかみます。

国や文化が違うのですから、このような「価値観の違い」があって当然なのですが、日本ではあまりそういうことが語られていないような気がしています。価値観が違えば「マナー」が違うのは当然です。外国人観光客自身は「マナー違反」だと思っていないこともありえますので、その違いを知らせる必要があります。

この件については、マスコミの姿勢にも問題があります。一部のマスコミは、「外国人はマナーが悪い」というイメージで報道するとウケるので、あえてそういった事例を探している節もあります。

「外国人観光客」としてテレビに登場する人たちが、流暢な日本語でインタビューに答えているシーンを見たことがある方も多いと思います。私は何度も指摘していますが、あれは「外国人観光客」とはかぎりません。なぜそんなことが言えるのかというと、私もそうされそうになった経験があるからです。

「観光客ではありません、28年も住んでいます」と説明しているのに、「外国人だから、日本のよさを語ってください」とインタビューを頼んできます。先ほど申し上げたように、日本の外国人観光客はほとんどが中国人と韓国人ですので、イギリス人の意見などは少数派のはずですが、その番組の企画では、どうしても白人に日本の魅力を語ってほしいということでした。

このような「シナリオありき」のマスコミ報道が、外国人観光客のステレオタイプのイメージをつくっているのではないでしょうか。

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