あの綾瀬が「ロケの名所」にのし上がった理由 伊豆急&河津にも学びたい「町おこし」のワザ

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すると、すぐに小栗旬さん主演ドラマ『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)、福山雅治さん主演映画『真夏の方程式』、内野聖陽さん主演ドラマ『とんび』(TBS系)のロケが行われるなど、受け入れ件数はわずか1年で約2倍に増えたそうです。

なかでも象徴的だったのは、バラエティ番組『笑神様は突然に…』(日本テレビ系)のロケ。鉄道マニアのタレント“鉄道BIG4”が伊豆急の列車に乗って下田や稲取へ行き、さらに同社の永瀬社長(当時)が出演して車両基地を案内するシーンなどが放送されました。

タレントたちからの絶賛も含め、まるでプロモーションビデオのような映像が金曜の19時から全国放送されたのですから、その宣伝効果は絶大。また、社長自ら出演することで、「会社ぐるみでロケを誘致していくんだ」という全社員へのメッセージとしての役割も果たしていました。

『孤独のグルメ』で紹介された“わさび丼”

若者から重鎮まで地元住民が団結して結成された「泣かせ隊」のみなさん(写真:ロケ―ションジャパン編集部提供)

さらに伊豆急ロケーションサービスは、「鉄道だけでなく、沿線の町を含めてロケ誘致したい」という希望を抱いていました。手配・撮影のしやすさと地域活性化、両者のメリットを考えても、鉄道と町のダブルロケ誘致は、すばらしいプランに違いありません。そんな伊豆急サイドの提案に、河津の人々が前向きな反応を示しました。

最初の問題は、「伊豆急サイドと、役場や住人サイドとの調整がうまくできるか」ということ。そこで「まず伊豆急はロケと情報発信、河津の人々は名物グルメの開発」と役割分担を決めて、ロケ誘致を進めることになりました。

ロケ受け入れ地の選定などは順調に進んでいた半面、難航したのはグルメ開発。さまざまな候補が挙がる中、住民間の意見が分かれてメニューが決まらなかったのです。一方、東京では、ロケ情報誌『ロケーションジャパン』山田実希編集長のもとに、グルメドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)のスタッフから問い合わせが入っていました。

多彩なわさび料理が食べられるほか、夏季限定の「泣き氷」なども人気(写真:ロケ―ションジャパン編集部提供)

同作には、主人公の井之頭五郎(松重豊)が遠方へ足を延ばす出張編があり、スタッフが「出張編に合う面白い町はないか」と行き先を考えていました。そこで山田さんが河津を提案したところ、ロケが決定。実際に松重豊さんが河津に来て、わさび丼を食べたことで、地元の人々は「外の人から見たらこれが一番なんだ」という意見でまとまったそうです。

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