飛行20時間!「超長距離フライト」の破壊力 カンタス航空が「5年以内の実現」を呼びかけ

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カンタスは、こういった乗り継ぎの面倒から解放される直行便の就航により、「従来より最大で4時間短縮、総飛行時間はシドニー―ロンドン間で20時間20分」という青写真をぶち上げたわけだ。

ところで、いま日本から出発する直行便のうち、飛行時間が最長となるフライトはイベリア航空(スペイン)の成田発マドリード行きで、所要時間は14時間10分となっている。これでも全世界の空を飛び交うフライトのロングフライト番付では25位にさえ入らない。目下、世界でいちばん長いフライトはエアインディアのニューデリー発サンフランシスコ行き(片道のみ)で、1万5300キロメートルを17時間かけて飛ぶものだ。

20時間超のフライトでは機内食が3回?

では「20時間飛びっぱなしフライト」の機内は、いったいどんなことになるだろうか?

最も心配されるのは、長時間いすに座ることで起こる「エコノミークラス症候群」だ。これは、フルフラットのファーストクラスやビジネスクラスの乗客でもかかりそうな不安がある。直行便は確かに慣れない外国の空港での乗り継ぎの面倒から解放されるという利点は大きいが、あまりの長時間フライトによって生じる体への負担との兼ね合いが難しくなってくる。前述のイベリア航空直行便に乗った知人は「(共同運航で選択できる)フィンランド航空のヘルシンキ経由のほうが、途中で機外に出られるので、かえって体によさそう」と語っていたことを思い出す。

飛行時間もがほぼ丸1日となる20時間超えフライトでは、機内食が乗客ごとに3セット積まれることになるだろう。これ以外に機内食の合間に出されるスナックや各種飲料などが必要で、飲食物の搭載量は単純に所要時間で掛け算できない可能性もある。

「乗っている間、映画がずっと見られてうれしい」という声も聞こえてきそうだ。「12時間のフライトで5本見た」という話は結構聞くが、はたして20時間で10本見るという強者は出現するだろうか。

では、カンタスが求めるような超長距離機材が日本に導入される可能性はあるのだろうか。

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