大塚家具、「お家騒動」より深刻な本業の不振 現金減に重要事象、店舗縮小で乗り切れるか

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2017年3月に中期ビジョンを発表した際、東洋経済のインタビューで大塚久美子社長は、「今期営業利益5億円の会社計画の実現がなければ、その先は絵に描いた餅になる」と話していた(2017年3月、今井康一撮影)

2016年度(1~12月)に創業以来最大の営業赤字約46億円を計上した大塚家具。今年に入っても、厳しい戦いを強いられている。

7月末には、2017年度の業績見通しを大幅に下方修正した。売上高は期初計画比19.3%減の428億円(前年同期比7.5%減)。営業利益は同5億円の黒字を見込んでいたが、43億円の赤字と空前の規模だ。

結局、8月上旬に発表した2017年上期(1~6月期)決算は、売上高213億円(前年同期比11.3%減)、営業損失は27億円の赤字(前年同期は19億円の赤字)だった。

業績不振で現金急減

不振の要因は有明本社や横浜みなとみらい、大阪南港ショールームなど1万平方メートルを超える大型店の低迷にある。

当初、全店売上高は114%を計画していたが、1~6月の実績は88.3%と程遠い数字だった。顧客のニーズがまとめ買いから単品買いにシフトしているほか、2015年の壮絶な"お家騒動”による影響が尾を引いている。

業績不振で取りざたされているのが、資金繰りの問題だ。現金および預金は2015年12月末に109億円あったが、2016年12月末には38億円まで減少。直近の2017年6月末には21億円まで減っている。

特に第2四半期を見れば、本業で稼いだ現金の出入りを表す営業キャッシュフローは29億円の赤字。また投資有価証券の売却で25億円の現金を得たにもかかわらず、前2016年7〜12月期の配当金14億円の支払いによって、現金の流出が続いている。

資金繰り対策として、大塚家具はコミットメントライン(融資枠)の金額を増やしている。有価証券報告書によれば2015年末に5億円だったものが、2016年末には30億円、直近の6月末には43億円に達した(6月末時点で借り入れ実績なし)。

大幅な赤字が続いているため、2016年12月期の本決算短信から、(継続企業の前提に)「重要事象等」というリスク情報が記載されるようになった。会社側は「取引銀行4社とのコミットメントライン契約締結及び、金融機関から支援の意思を確認しており、継続企業の前提に重要事象はない」(2017年第2四半期決算短信)と記載している。

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