香港住民は大陸からの越境を歓迎していない 中国大陸から香港へ通う子供たち<下>

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「無制限に資源のある所はありません。これは心の問題ではなく、資源の分配の問題です」

こうした香港社会からの反発を、5歳の娘、恩熙ちゃんを香港に通わせる中国人夫妻、田峰涛さんと周粉莉さんはどう見るのか。

「息子が大きくなる頃には、大陸でも力を発揮できるでしょう」と話す熊燕さん

「いろんな人を受け入れるべき」

「彼らも気持ちの整理が必要だと思います。香港は国際化された大都市であるから、いろんな人を受け入れるべきです。これは短期的な問題だと思います」(田峰涛さん)

「香港は中国に返還されたので、徐々に融和していくと思います。それを受け入れられないのは彼らが偏狭であることを示しています。融和と競争を拒否しているだけです。よそからの挑戦を受け入れたくないだけです」(周粉莉さん)

中国本土の人の目線で見れば…

中国本土の人の目線で見れば、香港はすでに自分たちの一部なのである。それは中国側の問答無用の勢いが、香港を飲み込むようにして一体化を進めている結果だろう。今はまだ香港は、子どもを越境させてまで通学させたい「お得な場所」に映るが、その子どもたちはいずれ、香港は中国の1つの地方都市にすぎないと考えるようになるかもしれない。

宮崎 紀秀 ジャーナリスト

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みやざき のりひで / Norihide Miyazaki

日本テレビ報道局、社会部警視庁担当記者、外報部デスク、中国総局長などを経て現在はジャーナリストとして北京在住。主に「バンキシャ!」「ミヤネ屋」「ウェークアップ!ぷらす」など日本テレビ系列で放送する報道番組にコンテンツを提供。中国がらみのルポを得意とする。

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