香港住民は大陸からの越境を歓迎していない 中国大陸から香港へ通う子供たち<下>

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いずれも話しぶりも身なりもきちんとした感じのいい若者たちである。彼らに物心がついたときには、すでに香港は中国に返還されていたはずだが、いまだに中国人に対する異質感は根強いようだ。

「双非の子どもたちは香港政府の誤った政策の産物です」

こう断言するのは香港独立派として知られる游蕙禎氏(26)だ。游氏は、去年、香港の国会にあたる立法会の選挙で初当選したが、宣誓式で「香港は中国ではない」という横断幕を掲げ議員資格を取り消された人物。香港から香港らしさが失われていく現状を嘆くひとりであるが、決して排他的なわけではない。

香港独立派として知られる游蕙禎氏。「資源の分配の問題」と話す。6月27日香港にて

多くの香港人は不公平だと思っている

游氏は、子どもたちがよい学習環境を求めるのは理解できるし、すでに香港人として生まれた以上、その権利は人道的にも守られるべきだと話す。そのうえで香港人の声を代弁する。

「彼らは香港人としての身分を得ているわけだから、享受すべき権利を無視はできません。しかし、多くの香港人は不公平だと思っています。親たちが香港のために何かをしたわけではないのに、子どもたちが香港人の権利を享受しているからです」

彼らの待遇については香港政府が解決すべき問題としながらも、香港人とまったく同じ扱いにするのではなく、学費の一部を負担してもらうなどは合理的で公平なやり方だと、話す。権利を制限することは、偏狭だとする批判もあるが、と水を向けると冷静な答えが返ってきた。

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