「営業」と「恋愛」の成功に共通する普遍的能力 ニーズ把握し、価値を伝えなければ失敗する

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営業面でも同様だ。顧客のニーズを把握したら、それが提供できる商品やサービスで満たすことができるのか確認しよう。満たせるのであれば、その旨を速やかに顧客に伝えれば、「この営業マンは、自分のニーズを満たしてくれる」と印象付けられる。

営業においては、メインビジネスに関することだけでなく、顧客のプライベートな事柄に関連して、営業マンの価値を伝えるという手法もある。そうすると、競合他社との差別化を図れることがある。非常に基本的なことだが、たとえば顧客の誕生日を覚えておいて、その当日にちょっとしたメッセージやプレゼントを贈るのは、その典型的な方法である。それによって、「この営業マンは気遣いができる」というような、営業マンとしての「価値」を顧客に伝えるのである。

実践する機会を作る能力

ここまでお伝えした「相手のニーズを的確に把握する」ことや、「自身の価値を的確に伝える」ことは、1回だけ行えばいいわけではないし、ある一つの事柄についてだけ実行すればいいのではない。正しいニーズをより広範により深く把握し、多様なニーズに即応して価値を伝え続けることが肝要である。

その多くの機会を設けるために必要な能力が、(3)の「『ニーズを把握する』『価値を伝える』ことを実践する機会を作る能力」である。

これは、具体的にどのような機会かというと、営業面でいうところの接待を思い浮かべるとわかりやすい。その中でも、最も一般的なのは、顧客と一緒に食事をするいわゆる会食接待であろう。

顧客に接待する目的は何かと問うと、「顧客と親睦を深めること」「顧客と信頼関係を築くこと」と答える営業マンは多い。この答えは間違いではないのだが、これだけでは不十分というのが筆者の見解である。

筆者が証券会社に勤務している時代に、同僚のBという営業マンがいた。Bは顧客と頻繁に会食に出かけており、B本人は一生懸命顧客と信頼関係を築いているつもりだった。しかし、いざ取引の段階になると、顧客は競合他社から商品を購入してしまい、その後に顧客からその事実を知らされる、ということがBにはよくあった。

これが、デキない営業マンの典型的な失敗接待パターンだ。本人は顧客と楽しく会食をして親睦を深めているつもりであるが、結果としてそれができていない。むしろ、食事をご馳走しただけになってしまい、顧客に利用されてしまっているのである。

なぜ、そうなってしまうのか。それは接待会食中に「相手のニーズを的確に把握する」ことや「自身の価値を的確に伝える」意識が薄いので、それに即した会話を構築できていないからだ。

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