「営業」と「恋愛」の成功に共通する普遍的能力 ニーズ把握し、価値を伝えなければ失敗する

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合コンで出会った女性と初めてのデートに行くことになったA氏。デートコースとして選んだのはドライブデートであった。房総半島の南端に近い館山市までA氏所有の車で移動し、寿司を軽くつまむというプランを立てて、実際それを実行した。

A氏としては、ベストを尽くしたデート計画であったが、結果としてこのデートはうまくいかなかった。というのも、相手女性は乗り物が苦手だったので車酔いがひどく、そのうえ食べ物も生魚が苦手だったのだ。

実はA氏は前月に新しく車を購入したばかりで、ついそれを活用したい気持ちが打ち勝って、深く考えずドライブデートを企画してしまった。A氏としても、ドライブ自体は善意で計画したもので、相手女性を不快にさせる意図は微塵もなかった。しかし、事前のリサーチが足りなかった。

この点、A氏は、「自分の意向をつい優先してしまった」「事前調査が足りなかった」との観点で、「相手のニーズを的確に把握する」ことができなかった。だからせっかくもらったチャンスの初デートをふいにしてしまった。

これは営業でも同様である。顧客の意向を軽視して会社の売りたい商品を薦めるあまり顧客の信頼を失ったり、商談の際、一方的に話しすぎて顧客の意見を把握できなかったりする営業マンをこれまで筆者もたくさん見てきた。

そうした営業マンは、顧客の真の考えを知ることができない。そうすると、それができる他社の営業マンより顧客のニーズを察知できず、ライバルに負けてしまう。それを避けるためにも、会話の際にヒアリングの時間帯を増やしたり、傾聴の意識を強めたりなど、「相手のニーズを的確に把握する」意識が重要となる。

自身の価値を的確に伝えよう

相手のニーズを的確に把握したうえで次に必要なのが、(2)「自身の価値を的確に伝える能力」である。これも、恋愛での模様を引き合いに出して考えるとわかりやすい。

たとえば、ある男性が好意を持っている女性に「最近ゴルフを始めたばかりで、楽しみながらなるべく早く上達したい」というニーズがあることを把握した場合、どう対応すればいいのか。

ゴルフの腕に覚えがあり、ゴルフの知識を相応にもっているのであれば話が早い。問題は、それがまったくないとき。「僕はゴルフやらないから……」と、当初から自分の価値を伝えることをあきらめるかもしれない。ただ、せっかく相手のニーズを的確に把握したのに、それでは少しもったいない。たとえゴルフに興味がなかったとしても、少しの工夫でゴルフに関連して価値を伝えることは可能だ。

ゴルフを熱心にやっている友人がいれば、その力を借りられるかもしれない。また、相手女性がゴルフの上達に励んでいるのであれば、普段より打ちっ放しの練習場に通っていることだろう。ゴルフ練習場に通うとき、徒歩や電車でなく車で通えたら体力的にも楽なのは明白だ。もし、車を持っているのであれば、相手女性が練習場に行くときや、練習後帰宅するときに、車で送る提案もできる。

このように、ゴルフができなくても、人脈や機動力に価値があることを、相手にうまく伝えれば話は変わってくる。

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