トヨタ「SAI」が売れなかった理由 HV専用の“小さな高級車”、挽回狙い大変身

拡大
縮小

「プリウス」「アクア」。2012年度の国内新車販売ランキング(軽自動車を除く)で、ワンツーフィニッシュを飾ったのは、トヨタ自動車のハイブリッド(HV)専用車だった。エンジンとモーターを併用して走るHVは、既存の燃料インフラを使って燃費を高められるのが利点。現時点のエコカーでは最有力の存在だ。環境意識の高まりに加えて、ガソリン価格の高止まりなどの要因から人気を博し、2車種ともに月間2万台以上のペースで売れた。

従来モデルの月間販売は500台前後

一方、“ドル箱のはず”のHV専用車としてトヨタから華々しくデビューし、プリウス、アクアと同様にトヨタ全系列(トヨタ店、トヨペット店、ネッツ店、カローラ店、レクサス除く)で販売するという破格の扱いながらも、その期待ほど売れてこなかったクルマがある。2009年に登場したセダン「SAI」(サイ)だ。ここ最近の月間販売台数は500台前後で、プリウス、アクアとは比べるべくもない。

そのSAIが、挽回を期した大変身に打って出た。

トヨタは8月29日、SAIをマイナーチェンジ(一部改良)して発売した。外観や内装のデザインを「フルモデルチェンジ(全面改良)並み」(商品企画担当の加藤亨主査)に大きく刷新。HVの特徴である燃費性能(JC08モード)もガソリン1リットル当たり22.4キロメートルと、同21.0キロメートルだった従来モデルから同1キロメートルも向上するとともに、静粛性や乗り心地なども高めた。

車両本体価格は321万~421万円。最も手頃な仕様ではナビゲーションを標準装備から外し、従来モデルよりも17万円引き下げた。販売目標は月間2000台に設定し、これまでの4倍程度への引き上げをもくろむ。

次ページマイナーチェンジにかける意気込み
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT