「社員が無能」と公言する社長は経営者失格だ 明確な方針を示せば社員は力強く働く

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社員が実力をつけるための方法はいくつかあります。しかし、その中で最も重要なことは、「方針を出す」ということです。

こう言いますと、「当然のこと。方針をきちんと出している」と言われるかもしれません。しかし、方針を当面の目標と理解しているとすれば、社員も部下も育っていくことはありません。

「基本理念」「具体的目標」「最終目標」

方針とは何でしょうか。月内の売り上げ目標を示すことでしょうか。あるいは5年先の事業目標を掲げることでしょうか。当然、それだけでは不足であるということは賢明な読者諸氏はおわかりになっているでしょう。そうです。「基本理念」と「具体的目標」と「最終目標」の3つが明確になければ、方針と言いません。

経営者は、この3要素を含んだ方針を打ち出すこと。このことによって、ほとんどの社員が、満足できる社員、実力ある社員となり、「ウチの社員は優秀でね、助かりますよ」ということになると思います。

なぜ、方針を明確にすると社員が実力をつけてくるかというと、「努力する方向と期待される成果」を明確に知ることができるからです。前述のように社員は、とりわけ若い社員は、やる気は十分なのですから、あとは、その気持ちを、どのような方向に向ければいいかを示すだけでいいのです。それが「方針」というものなのです。

その方針におおよそ沿っていれば、もうあとは個々の自主判断に任せればいい。そうすることによって、社員や部下は「受動的人材」ではなく、「能動的人材」に変わっていく。今はやりの将棋でいえば、「駒人間」ではなく、「差し手人間」に変身していく。これは何も社員、部下だけのことではなく、上司自身、経営者自身にも力強く経営を進めていくうえで、絶対に必要なものだといえるでしょう。

方針のうち、最も重要なのは「基本理念」です。何のためにこの事業をするのか、何のためにこの仕事をするのか。加えて、その事業を進めていくためには、どのような心構えで取り組むのか、その仕事にどんな心掛けで取り組んでいかなければならないのか。ここはしっかりと押さえておく必要があります。

そして「最終目標」。何を目指すのか、どのような成果を最終的に出すべきか、この仕事の最終着地点はどこなのかを定める必要があります。それが決まれば、その最終目標に向けた具体的目標で事を進めていけばいいわけです。いわば「具体的目標」がわかってきます。この3つの方針によって、正しい経営、着実な発展、大きな成果を達成できるのです。

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