「成長できる」「成長できない」企業の大きな差 失墜する名門とは明確に違う5つの共通点

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そして、次なるチャレンジは、ミドリムシ燃料です。東京オリンピックが開催される2020年までの実用化を目指しています。

「2020年までに、東京は非常に大きく変わると思います。アピールポイントのひとつは、『環境との共生』です。日本はパリ条約の批准が遅れていますが、2030年には2013年度比で26%のCO₂カット、つまり、CO₂を4分の1削減しなければなりません。これを解決するために、全燃料の4分の1をバイオ燃料にするんです。たとえば、『この飛行機は、ミドリムシの燃料を26%使っています』となれば、飛行機に関しては、CO₂問題は一気に解決します。2030年を待たずに10年ほど前倒しで、2020年には『日本はミドリムシのバイオ燃料によって、CO₂削減目標を達成できました』と世界にアピールできるようにしたいんです」(出雲社長)

より優れたビジョンを選んで進む

成長企業は、自己の未来像を明確に計画しています。未来像を明確かつ具体化するには、意志力と想像力が必要です。それはいまだ実現していない、どこにも描かれていない地図を書き出すことに似ています。

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特に注目すべき点は、単に自社の未来像だけでなく、社会の未来像も描き出し、その未来社会の中で自社の立ち位置を計算していることです。

ビジョンは、自らの事業を「振り返る」「原点を再確認する」のにも役立ちます。

一方で、成長を持続する企業は、優れたビジョンを掲げながら、ふさわしい時期がくれば、それを刷新することも厭(いと)いません。自社をさらなる高みに押し上げる、より優れたビジョンを選んで進むからです。

成長企業のトップに共通するのは「不変のものなどない」という感覚を鋭く持っていること。浮き沈みが必ずあるからこそ、次の事業の柱を追求し、事業領域を広げる意識を強く持っているのです。

鈴木 博毅 ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント

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すずき ひろき / HIroki Suzuki

1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。貿易商社にてカナダ・オーストラリアの資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。『「超」入門 失敗の本質』(以上、ダイヤモンド社)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)、『3000年の叡智を学べる 戦略図鑑』(かんき出版)など著書多数。

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