「あまちゃん」ロケ地観光のいまだ根強い人気 放送終了4年過ぎても久慈の町おこしは熱い

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お座敷列車では“潮騒のメモリーズ”も再現された(写真:久慈市提供)

ドラマが始まってしばらくすると、ロケ地めぐりの観光客が久慈を訪れるようになり、地元住民を喜ばせました。しかし、世間の人々が「あまロス」を話題にしはじめたころ、久慈の人々は「ドラマが終わったら絶対に人が来なくなる。どうしよう……」と頭を悩ませていたのです。

久慈に限らず市町村のロケ受け入れは観光課が中心となって行われますが、大半は撮影時のフォローをするだけで終了。ロケ地めぐりが目的の観光客を受け入れるノウハウがなく、「誰が何をすればいいのかわからない」のですから、不安を抱くのも当然なのです。

「あまちゃん」終了が迫った2013年9月、危機感に襲われた商工会議所のスタッフが、「ロケ地 活性」というキーワードでネット検索したところ、東京・虎ノ門の「地域活性プランニング」という会社を発見しました。この瞬間から、久慈の人々と同社のドラマが始まっていきます。

「あまロスなげき隊」で満足度アップへ

「あまロスなげき隊」のみなさん。すべてはここから始まった(写真:久慈市提供)

地域活性化のプロである地域活性プランニングと手を組んだことで、久慈のロケ地観光は激変します。まず観光客へのおもてなしを強化するために、商工会議所のメンバーが「あまロスなげき隊」を結成。リーダー、情報発信、イベント担当などの役割分担を決めて、観光客の満足度アップに動き出しました。

さらに、観光客向けのロケ地MAPを作ったり、海女のコスプレをしたガイドが行うロケ地ツアーを開催したり、「あまちゃんハウス」で海女の衣装を着て撮影ができるようにしたり、イラスト化した「あま絵」をシャッターアートやポストカードにするなどの仕掛けが次々に生まれていきます。

その効果は、小袖海岸を訪れた人の割合を示す「どちらからお越しですか?」のパネルを見れば一目瞭然。全国から観光客が訪れているだけでなく、「3度目以上」を示す緑色のシールも目立つなどリピーターの多さを証明しています。

「あま絵」は商店街のシャッターに描かれているほか、ポストカードとして販売(写真:筆者提供)

地域活性プランニングのみなさんに、この4年間で生まれた久慈のロケ地観光にまつわるエピソードを聞きました。

全国のご当地グルメが買えるウェブサイト「LJマルシェ」マネジャーの木庭清美さんが挙げるのは、リピーターにまつわる話。「(『あまちゃん』で海女を演じた)宮本信子さんや渡辺えりさんのような話し方をする海女さんが本当にいて、作品の世界観に浸れるんですよ。だから『2度目の旅行は久慈の海女さんに会いに行く』という人も多いようです」。

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