「関西大手私鉄」朝のノロノロ運転ランキング ワースト1位の速度は自転車並み

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なぜ?という種明かしをする前に、まずは「普通」と「各駅停車」の違いを明らかにしてみよう。

「普通列車」とは、「優等列車」ではない普通の列車という意味だ。だから厳密に言えば、各駅に停車するとは限らない。JRの場合は特急券不要の列車を「普通列車」というので、たとえば東海道新幹線こだま号は「各駅停車」だが普通列車ではない、ということになる。ややこしいのだが、ともあれ、まずは普通列車≠各駅停車と考えていただきたい。

そこで南海電鉄の場合を考えてみよう。南海線は泉佐野方面から難波に向かい、大阪湾沿いに北上していく路線だが、高野線は和歌山に近い大阪府内陸部から北西方面へ進み、難波の5つ手前の駅・岸里玉出で南海線と合流する。

同駅から難波までは両線が並行する(厳密にはどちらも南海線の線路で、一方の複線を高野線用としている)複々線となるが、この区間は高野線が走る線路には天下茶屋、萩ノ茶屋、新今宮、今宮戎の4駅があるものの、南海線の方には萩ノ茶屋、今宮戎のホームがない。これらは乗客増加による複々線化や駅の統合などの事情によってこうなった。ゆえに南海線は各駅には停車しないので「普通」、高野線は文字通り各駅に停まるので「各駅停車」と呼ばれているのである。

停車駅が多い列車のほうが速い?

次は京阪電気鉄道(京阪)だ。同社は8月20日にダイヤの一部変更を行ったが、今回はそれ以前の時刻に基づいている。

まずは京阪本線・鴨東線(出町柳―淀屋橋・51.6km)から。京阪の場合は大阪(淀屋橋)方面行きが「下り」となる。淀屋橋行きの普通は6時台に1本、7時台に2本あり、遅い方の所要時間は106分で表定速度は29.2km/hだ。

6時台には通勤準急が5本もあるがスピードは遅く、所要時間97分で表定速度は31.9km/h。通勤準急は準急停車駅の守口市駅を通過するため停車駅は1つ少ないが、面白いのは停車駅の多い準急の方が通勤準急より速い点だ。7時24分発の準急は所要時間92分、表定速度33.7km/h。淀屋橋到着が8時56分と、ピークより若干遅いためだろう。

同じく京阪の中之島線・京阪本線・鴨東線(出町柳―中之島・53.3km)はどうか。こちらは中之島行き普通列車が6時台に1本、7時台に2本。最も遅いのは所要時間111分で表定速度は28.8km/h。通勤準急は所要時間98分で表定速度32.6km/hだ。

次ページ32㎞に88分かかる普通列車がある
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