トヨタが「WRC再参戦」でつかんだ成果と課題 もう一つのホームグラウンドも気になる

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エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組のヤリスWRC #12号車(筆者撮影)

2017年、18年ぶりにFIA世界ラリー選手権(WRC)に復帰を果たしたトヨタ自動車。「今年はデータ収集の年」と言いながらも、第1戦・モンテカルロでいきなり表彰台、2戦目・スウェーデンで早くも初優勝を獲得しているが、これらはさまざまな“幸運”にも助けられている。その流れのまま……というほどWRCは甘くない。

公道を市販車ベースのマシンが高速で駆け抜ける

WRCは、F1(フォーミュラワン世界選手権)と双璧を成す自動車レースの世界最高峰だ。欧州や南米、オセアニアなどの各国で舗装・未舗装の公道を市販車ベースのマシンが高速で駆け抜ける迫力が、モータースポーツファンの人気を集めている。「公道を舞台にした最も過酷なモータースポーツ」といわれることもある。

そんなWRCの再参戦に当たって、トヨタは事前にさまざまな事例を想像し入念な開発を行ってきたが、実戦の経験値やデータベースの少なさから、メキシコやポーランドでは“洗礼”も受けている。しかし、実戦経験による“新しい発見”と“ドライバーからの要望”を迅速にフィードバックさせることでマシンは毎戦ごとに着実に改善されている。

トヨタは今年、「つねに実戦テスト!」の姿勢で臨んでおり、その証拠に成績があまりよくない戦いのときも細かく分析するとステージが進むにつれて結果(=タイム)もよくなっている。つまり、豊田章男社長が常日頃語る「道が人を鍛え、クルマを鍛える」は、WRCという極限状態でも実践されている……というわけだ。

1月からスタートしたWRC2017シーズンもすでに後半戦を迎える中、7月27~30日にフィンランドでWRC第9戦「ラリーフィンランド(NESTE RALLY FINLAND)」が開催された。WRCの中で最も平均速度が高いうえに、数多くのジャンプスポット(数十メートル飛ぶようなことも)があるなど、グラベル(未舗装路)コースの中でも非常に難易度の高いラリーとして知られている。

メカニカルトラブルで戦線離脱となってしまったヤリ=マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組のヤリスWRC #10号車(筆者撮影)
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