子どもの大事な「敏感期」に親ができること 「モンテッソーリ教育」の本質はここにある

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私は東京・吉祥寺の就学前児童を対象としたモンテッソーリ教育施設「吉祥寺こどもの家」において、日々児童たちにモンテッソーリ教育を行うだけでなく、同時に教員の養成も担当しています。また日本全国で、モンテッソーリ教育を皆に理解し、実践してもらうために、保育・育児に関する研修や講演会を開催し、モンテッソーリ教育の普及に努めています。

子どもをしっかりと観察すれば、その子が今、どのような能力を伸ばしたいのかが、わかります。大人は「科学者のように」子どもをしっかり観察し、その時期に適切な働きかけをすることが大切です。そうすることで、子どもは自らの能力をどんどん伸ばすことができるからです。

「敏感期」に合った働きかけを

今回私は、いくつかの典型的なかかわり方をご紹介していきます。私が日々、園で実践していることばかりです。これは「敏感期」と呼ばれる、子どもの「こだわり」に応えるための声かけとなっています。冒頭の例のように、このこだわりに対してしかったり、とがめたりする親御さんが多いのですが(親御さんにはわがままと映るためです)、このこだわりを認めるか、認めないかで子どもの成長は大きく変わってきます。

敏感期とは、わかりやすい言い方をすれば「何かに強いこだわりを見せる」時期のことです。子どものよくある行動から、そのときにどのような働きかけをすべきかをみていきましょう。

「同じ洋服を毎日着ようとする」→「習慣」にこだわる敏感期

お母さんが困ることの一つに、子どもが選ぶコーディネートがヘンで恥ずかしいということがあります。全身チェック、全身レインボー、全身キャラクターなどなど。子どもは同じことを同じようにするという「習慣」の力を身に付けようとしているだけでなく、この洋服選びにおいて選択する力も磨いています。自分のこだわりにそって、ちゃんと洋服選びができているのですね。そんなわが子にかける言葉は、

「全身レインボーにできたね」

です。間違っても「ヘンな洋服着ないでよ!」と言ってはいけません。園にはみんな、変わったコーティネートで来ていますから、心配しなくても大丈夫ですよ。

朝、急げない→「順序」にこだわる敏感期

子どもは自ら決めた順番を、頑なに守ろうとする時期があります。これは将来、段取りをつける力となるため、ぜひ邪魔をしないで伸ばしてあげたいのですが、忙しい朝に放ってはおけません。そのようなときには、子どもの中にある順序を引き出す問いかけをします。

「次は何をするのかな?」

「どこをお手伝いしようか?」

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