増える児童虐待、子育てに悩む主婦 悩むのは、ワーキングマザーだけじゃない

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厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は、90年度の1101件から、12年度には6万6807人まで、22年連続して増加している。件数激増の背景には、08年の児童虐待防止法改正などを背景に、周辺住民による相談所への通告などが増えたことも、その一因と見られる。加害者は実母が57%、実父が19%で、残りはその他となっている。

働く母だけでない。専業主婦も悩むのは同じ

育児に悩む母親。ワーキングマザーの職場における苦労ばかり注目されているが、子育てで苦悩する女性も依然として少なくない。共働きで保育園に子を預ける母親はその瞬間、育児から解放されるが、専業主婦は乳幼児期にそれこそ24時間、子どもと向き合わなければならない。「今日も1日赤ちゃん言葉だけで終わった」(30代のある母親)という光景はザラだ。

ちなみに厚労省の労働力調査(12年)を見ると、全国には現在、約1293万人の専業主婦がいる。うち育児期に当たる20~30代だけで、約323万人を占める。

自身で保育所運営を手掛ける、ある教育専門家は提言する。「今は高等教育が当たり前になったが、おカネをかけて育児をし、教育しても、先が不確実で読めない。家にいる母親を孤立させず、社会で支え合うことだ」。

法制度などインフラ面の普及が進み、確かに働く女性を取り囲む環境整備は進んだ。だが、それと同じくらい、学校や家庭、社会も激変している。家で家事・育児をする主婦(注:もちろん家事・育児は男性もする必要がある)にとって、悩みの種は尽きない。

「週刊東洋経済」2013年8月31日号特集「ワーキングマザー」

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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