アメリカで「植物性肉」が人気化している理由 本物そっくりで消費者つかむ

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米国で、5月初旬から9月までの夏のバーベキューシーズンは、祝日が3日入ることもあり、ハンバーガーやスペアリブ、ステーキ、そして今では、ベジバーガーのような肉の代替製品の売り上げが伸びる時期だ。

調査会社ニールセンによると、小売肉の2016年売上高の約764億ドルのうち、約237億ドルがこの期間に売れた。

変化の触媒

シカゴの消費者リサーチ会社テクノミックによると、肉の代替食品メーカーがターゲットにしているのは、18─50歳のミレニアル世代やジェネレーションXと呼ばれる世代だ。この世代の消費者は、より食べ物に気を遣い、選んだ物が高価格でも買う傾向があると、植物性食品協会のミシェル・サイモン氏は言う。

ニールセンのデータによると、ミレニアルとジェネレーションXの世帯は、米国で昨年肉消費に使われた総額の45%を支払っていた。

「植物性肉の会社は、(肉など)動物性タンパク質を食べる人の中でも、次の世代を狙っている。こうした世代が、変化を引き起こしつつある」と、テクノミックのデービッド・ヘンクス氏は言う。

肉の代替食品の市場は、2020年までに52億ドル規模になると、オレゴン州のアライド・マーケット・リサーチ社は予測する。2015年比で8・4%増だ。ビヨンド・ミートのほか、食品大手ケロッグ<K.N>傘下のモーニングスター・ファームズなど米企業が市場をけん引している。

植物性肉のメーカーは、これまで「肉好き」だった人を完全に転向させようとしているのではなく、両方が併存する世界を目指している。

「肉のバーガーを追い落とそうとしているのではない。その隣に、われわれの場所を作りたいというだけだ」と、ケロッグのメル・キャッシュ氏は言う。

ビヨンド・ミートは、スーパーマーケット大手のセーフウェイやクローガーと交渉し、植物性のハンバーガー用パテを、本物のひき肉製品売り場に並べてもらった。

イーサン・ブラウンCEOは、牛ひき肉で作ったバーガーと、同社の植物性バーガーには、まだ差があると認めた。その上で、同社の研究者は、差を縮めつつあると話す。

「10年以内に、動物はすっ飛ばして、(市場に流通する)肉を完全に植物だけで作れるようになるかというと、それは非現実的だ」と、ブラウン氏。

「だが、今われわれがやっている研究の先行きは非常に明るいと思う。将来的に、最高級の肉に引けを取らない植物性の肉を作れるようになるのに、大きな障害はないと思う」

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