JRと飛行機、「予約変更」はどっちが便利か その利便性の差は歴然としている

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ネット予約のほうが利便性が高いのは、東海道・山陽新幹線だけではない。JR東日本とJR北海道エリアの新幹線(北陸新幹線全線含む)や在来線の特急の指定席は、JR東日本のインターネット予約サービス「えきねっと」で購入すると、変更・キャンセルの諸条件が通常と異なり、使い勝手が増すことになる。

「えきねっと」はエクスプレス予約と異なり年会費不要で、主要クレジットカードが利用可能。だが、専用のICカード「EX-ICカード」を使えばそのまま乗車できるエクスプレス予約に対し、「えきねっと」は乗車前に駅にある指定席券売機や「みどりの窓口」などで紙の切符を受け取ることになる点が異なる。

予約の変更は、こちらもエクスプレス予約同様、駅の窓口で乗車券+特急券を購入するよりも利便性が高い。切符の受け取り前であれば、予約変更は発車前であれば何度でも可能で、払戻手数料も310円のみで済む。ただし、受け取り後であれば通常の手数料がかかることになるので、受け取りは乗車直前のほうがいいだろう。携帯電話をタッチして乗車できる「モバイルSuica」を活用した「モバイルSuica特急券」においても、変更は何回でも可能で払戻手数料も310円で済む。

切符のルール、見直す時期かもしれない

空港の自動チェックイン機。今では航空券はネット予約が主流だ(写真:aya / PIXTA)

航空ではすでに当たり前となっているネット予約は、鉄道でもしだいに主流となってきたが、鉄道の場合は駅が街中にあり、日頃の通勤時や出張時の乗車前などに「みどりの窓口」に立ち寄って乗車券と特急券を購入して利用するスタイルもまだまだ主流だ。

だが、これらの正規料金の切符は「エクスプレス予約」や「モバイルSuica特急券」などより割高にもかかわらず、変更やキャンセルのルールはネット予約より不便だ。航空の場合、普通運賃や往復割引は事前購入型の割引運賃よりも割高な分、使い勝手がよくなっているが、鉄道の場合はこれとは違う状況になっている。

ビジネスでの利用では、急な予約の変更が必要になる機会も多い。鉄道の利用においては、駅で気軽に購入できる切符の利便性を高めることも重要だ。一切の割引がない乗車券+指定席特急券については、予約変更・キャンセルのルールを見直してもいい時期に来ているのではないだろうか。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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