ジャパンディスプレイ、4期連続赤字で孤立 筆頭株主の産業革新機構は撤退に布石

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経営体制の見直しが必要とし、3700人のリストラを発表した東入來会長兼CEO(撮影:大澤誠)

「ここまで大変だとは思っていなかった」――。8月9日に行われた、液晶メーカー大手・ジャパンディスプレイ(以下、JDI)の第1四半期(2017年4月~6月期)決算会見。6月に就任したばかりの東入來信博(ひがしいりき・のぶひろ)会長兼CEOは、そう心情を吐露した。

それもそのはずだ。2016年度は3期連続の最終赤字に沈んだJDIだが、今期も苦しい状況に立たされている。

第1四半期は売上高が1885億円(前年同期比108%)、営業赤字は144億円となった(前年同期は34億円の営業赤字)。最大顧客のアップル・iPhone向け販売が前年同期に比べ伸びたため増収となったものの、昨年末に稼働した新工場の固定費増などにより赤字が拡大した。

4期連続赤字は避けられない

業績低迷を受け、決算と同時に構造改革も発表。スマホ用液晶パネルを製造する能見工場を年内をメドに生産停止し(将来的に有機ELパネル製造拠点としての活用を検討)、国内外で3700人規模の人員削減に着手する考えを明らかにした。それに伴い、2017年度に構造改革費用として特別損失を約1700億円計上する見通しのため、4期連続赤字は避けられない状況だ。

リストラには早期退職者への割増退職金なども必要となるが、その資金を捻出するため、今回JDIは銀行からの融資枠を1070億円に拡大する契約を締結している。

そもそもJDIは「運転資金として現預金は月商の2カ月程度は必要」(有賀修二社長)というが、6月末時点での現預金残高は609億円。ただでさえ月商2カ月分の約1500億円に程遠い中、資金をショートさせずリストラを実行するには、借り入れに頼る必要があったのだ。

ただ、赤字のJDIへの融資を銀行が無条件で許容するわけもなく、JDIの筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構(以下、革新機構)が連帯保証する形をとっている。

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