マクドナルド「原田神話」、終わりの始まり 原田社長、中核子会社トップの座ついに譲る

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6つのポジションのうち、2つを譲っただけ?

一方、ホールディングスの会長兼社長兼CEOにとどまる原田氏はどうなるのか。

会見の席上、原田氏は業績不振について言及することは一切なく、「あくまでも、“交代”で“退任”ではない」と強調。さらに「余談だが」と断ったうえで、ホールディングスと事業会社の双方でそれぞれ「会長」兼「社長」兼「CEO」の合計6つの役職を保持していることについて、「女房から人材不足の会社に見える、と言われたことがある」と披露。それら6つのポジションのうち、2つについて責任を委譲するのが今回の狙いであることを説明した。

今年3月に開かれた株主総会では原田氏の再任が決まっており、順当に行けば2014年度まで代表取締役の地位にとどまることができる。「後継者はまったく未定。職責を全うするのが当然」(原田氏)と今後の見通しについては明言を避けた。

ただホールディングスの傘下にあるのは、日本マクドナルドを含め、店舗サポート業務をするエブリデイ・マック、ケータイクーポンなどマーケティングを企画するThe JVという3社のみ。このうち日本マクドナルドは連結売上高の99%を占めており、その中核子会社である日本マクドナルドの社長兼CEOの座を今回譲り渡したということは、原田氏が権力基盤の最重要な部分を手放したとみるのが自然だろう。

業績不振だった日本マクドナルドを立て直し、外食で最も稼げる企業に押し上げたのが原田氏の功績であることは間違いない。ただ、ホールディングスの直近の業績は2期連続減益と低迷感が拭えない。今回の社長交代はいよいよ、“原田神話”の終わりの始まりを告げているのかもしれない。

(撮影:梅谷 秀司)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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