叶姉妹も入れ込む「コミケ」の甘くない真実

50万人以上が集まっても大半は儲からない

コミックマーケットの理念に「コミックマーケットは同人誌を中心としてすべての表現者を許容し継続することを目的とした表現の可能性を広げるための『場』である」とある。即売会の形を取っているものの、その本質は「表現すること」だ。コミックマーケットでコスプレが行われているのも、それが表現の一つだからにほかならない。

「意味があろうがなかろうが、売れようが売れまいが、私はこれが描きたい、これを表現したい」――その思いをこらえきれなかった人々が、自分の思いのたけをぶつけた作品を持ってくる場所がコミックマーケットなのだ。ここならば、プロにしか許されなかった「思いを形にし、他の人に手に取ってもらう、共感してもらう」ことができる。その喜びは、赤字や黒字で測れるものではない。

乱暴な言い方をすれば、コミックマーケットは素人が自作を販売する場にすぎない。同人誌のクオリティは玉石混淆であり、それは出展側も参加側も十分に理解している。

それでも50万人が集まるのは、単なる価値交換を超えた魅力があるからだ。時間とおカネをつぎ込んででも、自分の情熱を形にしたい出展者。彼らの作った作品を手にして、込められた思いを共有したい参加者。両者は同人誌の売買を通じて「情熱の共有」を行う。コミックマーケットとは、出展者と参加者による「表現を通じ、思いを共感する場」なのである。

表現したい人たちの中で

コミックマーケットに出展する芸能人・アーティストにはひとつ共通点がある。それは「コミックマーケットと参加者への敬意がある」という点だ。表現の最前線に立つ芸能人にとって、「表現したい」という思いが日本中から集まり爆発するコミックマーケットは、表現者としての原点を呼び覚ますのかもしれない。実際、かつて出展した芸能人は決して威張った態度は取らなかった。彼らはあくまで「一人の表現者」として現れ、自分の作品を伝えていった。おそらく、叶姉妹も同様だろう。

コミックマーケット準備会は「表現の可能性を広げるための『自由』な場として、参加の意志を持つすべての人々と、すべての表現を受け入れていく」と宣言している。プロもアマチュアも、うまいも下手も、一般人も芸能人も関係ない。日本で最も「表現したい」「共有したい」という思いが集まる場だからこそ、コミックマーケットは50万人以上を引き付ける一大イベントとして成立しているのである。

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