次期FRB議長に求められる、第3の使命とは?

雇用や物価と並び、重要視されてきた「低金利」の弊害

連邦制度準備理事会(FRB)と連邦公開市場委員会(FOMC)には、金融政策の運営にあたっての法的使命が課せられている。最大限の雇用(maximum employment)と物価安定(stable prices)であり、デュアル・マンデート(dual mandate、2つの使命)と呼ばれている。今回は、最近の米金融政策を巡る動向について、このデュアル・マンデートという観点から考察してみたい。

「デュアル・マンデート」(2つの使命)を思い出せ

現在実施されている大規模証券購入プログラム(QE3)は、物価安定上のリスクは小さいという見通しの下で、もうひとつの使命である雇用促進を主目的としてスタートした。声明文には「物価安定という文脈に沿いつつ、雇用見通しが大幅に改善するまで」QE3を続ける方針が掲げられてきたのである。当然の帰結として、QE3運営をめぐる議論は主として「雇用見通しが大幅に改善する」とはどのような状況を指すのか、それはいつ達成されるのか、という点に集中してきた。

議事録によれば、7月FOMCでは雇用情勢について次のような議論が交わされ、「同会合でのQE3縮小は不適切」との判断に至った。「昨秋以降、失業率はかなり低下しており、非農業部門雇用者数は堅調に増加している。一方、労働参加率の低下、多くのディスカレジッド・ワーカー、フルタイム職が見つからず仕方なくパートタイム職に就いている人々の存在などが、雇用情勢は緩やかな改善にとどまっていることを示唆している。企業の雇用率など労働需要を示す指標も弱い」

しかし今年に入り、雇用と並んでもうひとつの使命である物価安定にかかわる問題が生じるようになった。インフレ率が長期目標である2%を下回るだけではなく、「許容範囲の下限」(ブラード・セントルイス連銀総裁=投票権を持つFOMCメンバーのひとり)とも言われる1%近傍まで低下したのである。

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