世界のエリートが本の「多読」をしないワケ 「使い倒す」を意識したほうが効果的

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今の自分に必要な10冊はどのようなものかというと……

● 直面する課題を解決するために読む必要がある本
● テーマに興味があって、「実践してみたい」と思っている本
● 将来の自分にとって有益だと思える本

です。では、どうして、本を10冊に絞るのでしょうか?

本を「ToDoリスト」のように使う

『世界のエリートは10冊しか本を読まない』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

本を10冊に絞ることで、「今、自分がやらなければいけないことは何か」「自分は今、何に興味・関心を持っているのか」が明確になります。10冊をデスクの上に置くことで、毎日、毎時間、その本のタイトルを目にすることになります。すると、そのたびに「今、自分が何をすべきか」を再認識することができるのです。「今、自分がやらなければいけないこと」や「興味のあること」が5つしかないのなら、もちろん5冊でもかまいません。

私は日々のスケジュール管理のため、タスクリストを書き出していますが、目の前の10冊は、タスクリストの代わりにも使うことができます。その意味で、10冊の本とは、「今の自分にとって、最も多くのリソースを割くべきことは何か」を明確に意識づける役割を持っているのです。

10冊の本には、積極的に取り組むべき課題が反映されていますから、それを目にすることで、本当に大切なことに時間を使えているかどうかを日々チェックすることができます。

私は、『The First 90 Days』という本をデスクの上に置いていたことがあります。

この本は、リーダーシップと交渉術を研究しているマイケル・ワトキンスというHBSの准教授が書いた1冊で、「90日間でリーダーがすべきこと」について体系的に述べられています。

ですが、正直にいうと、『The First 90 Days』にどのようなノウハウが書かれてあったのか、細かいところまではあまり覚えていません。ノウハウは覚えていなくても、私はこの本を「リマインダー」の役割として使っていたことがあったのです。『The First 90 Days』では、リーダーの役割について、このように指摘しています。

「新任の管理職が成功を収めるためには、最初の90日間で何をするかが重要である。この時期に小さな成功を積み上げておくと、長期的な成功につながる」

この本をデスクに置いておくだけで、たとえ本を開かなくても、「最初の90日間が大事である」という大切なメッセージを思い出すことができます。

このことを意識するだけで、勝負となる最初の90日間の使い方が変わります。

私がサンリオの米国法人COOに迎えられたのは、アメリカにおける物販事業をテコ入れするためでした。しかし当時のサンリオは、転換社債の返済や負債が重くのしかかっていたのです。物販をテコ入れすると同時に、全体戦略や、転換社債や負債の返済計画が必要ではないかと考えた私は、頼まれてもいないのにすぐに全社の事業戦略にも着手、入社4カ月後にはヨーロッパのライセンスを扱う別会社を立ち上げる準備を整えました。

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