「日本人の休み方」はフランス人には不思議だ

休みなのに詰め込みすぎは疲れない?

これは、外国人向けの有名な「JRパス」についても言える。1週間のうちにたくさんの移動をするならお得感はあるが、1週間以上になると高すぎる。緩く移動したいフランス人旅行者の旅スタイルにはあまり合ってないのだ。

先に紹介した観光フェアで出会ったフランス人たちは、みんな口をそろえてこう話していた。「予算が許せば、せめて2、3週間は行きたい」「だって、日本って遠いし、もったいないじゃん!」。これが日本人なら「せっかくフランスに行くなら、なるべく多くの観光地を見て、お土産をたくさん買って帰らなきゃもったいない!」と思うのだろうか……。

最高の日本語「行き当たりばったり」

ここまで「フランス人は」「日本人は」とわかりやすく紹介してきたが、実際はそう単純な話ではない。実は、私がかつてアジアを1人旅していたとき、たくさんの日本人に出会った。彼らは、世界一周旅行をするなど、自分の国の習慣をひっくり返すかのような、思い切った長旅をしているような人ばかりだった。彼らはフランス人よりもマイペースに過ごしていた。

彼らとの会話でよく出た言葉で、好きな日本語がある。それは、「行き当たりばったり」だ。フランス人が好きなぶらぶら歩きはまさにそう。目的はないが、目的がないからこそ何かに出会う可能性は無限大。面白い人に出会うかもしれないし、きれいな小道を発見するかもしれない。今まで戦っていた問題に対して、いきなりよいアイデアが生まれるかもしれない。

日常から離れてみれば、問題点も見えてくる。実際にする、しないは別として、新しい習い事や、やりたいプロジェクトが次々と浮かんでくる。私の場合、旅行の途中で必ず妄想のピークがやってくる。「あー家に帰ったら捨てるゴミを減らしてみよう」「レモンの木を育ててみよう」「本でも書きはじめてみよう」「将来フランスの田舎に温泉でも開いてみよう」と、いろんな夢を膨らませる。とにかく、脳があっちこっち、自由に動いて、とてもクリエーティブになるのだ。

逆に、「あれしなきゃ、これしなきゃ」とチェックリストを埋めるかのように休むと、休日が終わってから結局のところ、まったく休めてないことに気がつく。頭の回転のペースは減らない。しかし、プランを思い切って捨ててしまえば、退屈かもしれないが、脳が現実モードから妄想モードに切り替わり、心身とも完全にリフレッシュすることができる。

私が考える本当のバカンスとは、こういうものであり、少なくとも私は年に1回は経験してる。そのおかげで、バカンスが終わりに近づき、妄想するのに飽きたとき(経験から言うと、そういうときが絶対来る)、また現実や社会に新しい姿勢で挑みたくなる。心も頭も十分にリセットされ、新鮮な気持ちでまた頑張りたくなる。元同僚が言っていたように、仕事に戻れなくなるという心配は、自分の経験ではまったくないし、むしろ逆である。

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