外銀への出資は事業の補完関係を重視する−−永易克典・三菱東京UFJ銀行頭取

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--リーグテーブル等をみると、投資銀行部門はいま一歩のようにもみえます。

足元では、かなり上がってきてはいる。10位だったのが4位とか、少なくとも、プライマリーの世界はキャッチアップしつつある。手応えはかなりある。案件も増え、リーグテーブルも着実に上がってきた。ただ収益的に本当に大事なのはセカンダリー。もちろんプライマリーがある程度強くないとセカンダリーは無理なので、まずそちらに力を入れている。

プライマリーを強くするため、証券のほうに人も引っ張っている。今後3年間で、われわれのエース級を200人くらい投入するが、彼らが戦力化すれば、この世界で相当戦える。さらにセカンダリーに展開すれば、3年程度のスパンでみれば、かなりいいところまでいけると思う。

--投資銀行分野でもM&Aはありえますか。たとえば日興グループなどについて関心はありますか。

それ(日興)は1回、決着がついている話。相手先がどう考えるかということで、うちがどうこう言うことではない。ただ、つねに全方位外交。絶対にこれはやらない、という考えはない。M&Aは時間を買うということであり、門戸を閉ざす必要はない。柔軟に考える。対象を限らず、つねに門戸を開放してやっていく。

--新生銀、あおぞら銀の出口戦略に注目が集まっています。

特に興味はありません。

--今後、なお大手国内金融機関の再編の可能性はありますか。買収などへの備えは。

大きくなればいいという問題ではない。われわれはグループ全体で預金で120兆円、総資産で180兆円の規模があり、グローバルベースでみてもまったく遜色はない。膨張を続けたシティはサブプライム問題が起きる前から逆にスリム化の動きがみえていて、今回の問題で、これに加速がかかった。あまり巨大になりすぎるのはいかがなものかと思う。何か機能が加わるなど、われわれのグループ経営にふさわしいのであれば、当然、入ってきてもらう選択肢はある。

結局、経営は選択と集中であり、相手先があることではあるが、優先順位が高いものからやっていきたい。

ながやす・かつのり
1947年4月生まれ。70年東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行、90年新宿南口支店長、97年取締役、2000年日本信託銀行常務、01年三菱東京フィナンシャル・グループ(以下「FG」)取締役、02年東京三菱銀行常務、04年三菱東京FG常務、06年三菱東京UFJ銀行副頭取、三菱UFJFG副社長、08年4月三菱東京UFJ銀行頭取兼三菱UFJFG取締役に就任(現職)

(金融ビジネス編集部)

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