治療長期化時代の正しい「がん保険」の選び方 必要十分な保険の要件を押さえておこう

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100万円の根拠は、複数の調査結果にありました。2013年5月にカーディフ生命ががん治療経験者に行ったアンケートでは、病院での治療費以外に、家族の交通費、健康食品、美容(ウイッグ)費用等を加えた結果は平均123万円と報告されています。

これに、2010年に「がん政策情報センター」とアフラックが行った2つの調査で、諸費用は50万円程度という回答が最多で、100万円程度までを含めると全体の7割弱に達していることから、ひとまず100万円くらいで一線を引いてよいように思っていたわけです。

ところが、昨年11月に出た『国立がん研究センターのがんとお金の本』(小学館クリエイティブ)には、胃・大腸・肺・肝・乳がんの5種類のがんで、19の具体的な治療例とかかるおカネの額が掲載されていて、5つの例で100万円を超えています。

最も高額なのは、肺がん(腺がんⅣ期)の事例で、化学療法(入院4回)と化学療法+定期検査(外来17回)の総額で234万円に達しています。

女性の関心が高い乳がんでも3つの事例のうち、2つは150万円を超えています。こうした具体例を知ると、「本当に100万円あればよいのか?」と思えてきます。

何より悩ましいのは、「結局、いくらおカネがかかるのか、よくわからない」ことです。そのため、治療が続くかぎり給付金が支払われる「がん保険」を無視することが難しくなってきていたのです。

しかし、がん保険に限りませんが、不安視される事態についてさまざまな想像をしながら保険を考えると、保障内容を追加していくことになりがちです。すると当然ながら、保険料負担も増えてしまいます。やはりどこかで一線を引く必要を感じます。

治療サポート給付金に注目

そのヒントが、冒頭で触れたライフネット生命の新商品にありました。プランは、表のように3種類用意されています。

シンプル
(診断一時金のみ)
ベーシック
(治療費も保障)
プレミアム
(治療費も収入減少も保障)
がん診断一時金 がん診断一時金 がん診断一時金
治療サポート給付金 治療サポート給付金
がん収入サポート給付金
がん先進医療給付金 がん先進医療給付金

 

シンプルからプレミアムまで、治療の長期化や収入減といった不安材料の増加に伴い、保障を追加していくことができます。特に注目させられるのは、ベーシックとプレミアムタイプでは、月に1回、10万円の「治療サポート給付金」が、回数無制限で支払われることでしょう。「仮に抗がん剤治療が10年続いても大丈夫」と思えるのです。

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