前原vs枝野の代表選で民進党は再生できるか 一騎打ちになれば党が分裂する懸念も

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まずは代表選の時期の問題。8月下旬は加計学園が愛媛県今治市に新設を予定している獣医学部の設置について、文部科学省の大学設置・学校法人審議会が結論を出すことになっており、加計学園問題が佳境に入る。この時に代表選などで地方遊説などやっていられないということだ。

次に安倍晋三首相がこの時期に、解散総選挙を打ってくるかもしれないということだ。

すでに9月22日解散・10月22日投開票説も囁かれている。3月17日に愛媛3区選出の白石徹衆議院議員、7月25日には青森4区の木村太郎衆議院議員が死去したため、いずれにしろ10月22日に補選が行われることになっているからだ。8月3日の内閣改造はいわば「目くらまし」ということになる。内定している面々にまったく「新しさ」は打ちだされていないのも、解散が近いと思われる理由だ。

解散となれば代表選の方式を変更

その一方で、「こういう時だからこそ、党員・サポーターを含めた選挙を行うべき」という意見も出た。野田佳彦幹事長は、「前回(党員・サポーターも参加した昨年の代表選)は1カ月半かかったが、今回はフルスペックで1カ月とした。常任幹事会でも不測の事態(解散総選挙)を考えた。そういう時はさっそく切り替えて、すぐに新しい代表を選ぶようにしたい」と答えている。

いまのところ、出馬予定者は前原氏と枝野氏の2人。一騎打ちになれば党の分裂も懸念されるが、それ以上の懸念は党内に出ている分党論だろう。

前原氏は2日の出馬表明で党名の変更についての質問に、「今、党名をなくすとは言っていない」「党の立て直しに全力を尽くす」としながらも、「どうなっていくかはわからない」と本音を出している。

なんともすっきりしないが、とりあえずスタートを切ったといえる民進党の代表選。次の代表は前原氏か枝野氏か。民進党を終わらせるという役割は、いったいどちらが担うのか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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