クールビズの季節も「就活黒スーツ」は異常だ 猛暑で軽装を認められても、学生は疑心暗鬼

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男子学生に比べ、女子学生の服装に関する悩みは深いことにも、留意した方がいい。男子はネクタイを外してジャケットを脱げば、あとは何を履くかくらいの浅い悩みだ。ところが、女性の服装の要素は多く、悩みは深い。「女子のクールビズがわからない」という女子学生はとても多い。

「クールビズうんぬんの前に、女性はヒールじゃないとダメ、という文化を無くしてほしい。革靴とまでは言わないが、ローヒールまたはノーヒールでもよい風潮になってほしい」(愛媛大学、理系)、「クールビズを奨励する企業は、5月を過ぎたあたりに多く見受けられたが、女性の場合、ジャケットを脱ぐという選択肢しかない。そのため、夏本番を前に脇汗やシャツのしわが気になって気軽に脱げず、また脱ぐ人もいなかった。そもそもスーツという着慣れない服装に対して、クールビズと言われてもどのように対処すればよいかわからなかった」(東京女子大学、文系)。

女子就活生は暑さ対策に苦心している

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このように靴や脇汗、シャツのしわなどにも、女子学生は気を遣っている。単に「クールビズでもけっこうです」ではなく、もっと指示を明確にして、男子とは別に、女子学生の服装に関するメッセージを出せば、企業の好感度は上がるはずだ。

学生が企業と接触する場はいくつかある。まず3年の夏からインターンシップが始まるが、インターンシップには期間も内容もさまざま。募集要項をよく読んで服装を決めるべきだ。暑い時期に開かれるサマーインターンシップで、リクルートスーツは大げさだと思う。

また冬のインターンシップは性質が変わり、会社説明会の色合いが強くなるので、リクルートスーツを着用した方がいいかもしれない。5月の連休前なら暑さに悩むことはないし、スーツの着こなしは社会人になるための必須スキルだ。

企業の採用活動は早期化しているが、5月以降も活動を継続する学生はかなりいるはず。クールビズを推奨する企業は増えると思うが、その対応でリクルートスーツにこだわる必要はないだろう。確かに服装にこだわる企業もあるが、「クールビズ推奨」と指示しているのに、指示に従う学生を減点する企業はほとんどないはずだ。減点する企業は論外で、そんな企業に入社しない方がいい。

クールビズにする学生が増えれば、横並びだった就活生の服装が変わり始めるだろう。ビジネス街で見かけるカラスのような黒いスーツ姿はやや不気味だ。そうした風景が変わっていくような環境にしていくべきだろう。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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