通販急伸のヤフー、ステマ疑惑への「言い分」 宮坂社長「早く気づけばと反省しているが…」

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Yahoo!ショッピングの「おすすめ順とは?」という文字(画像右上)をクリックすると、独自のアルゴリズムで算出された表示順位であることと、算出にあたってユーザーがどのような商品を探し、購入したかや、Yahoo!ショッピングが認定したストアが支払う販売促進費の設定率などの各種データを使用している、との説明がある(Yahoo!ショッピングホームページより)

販促費は小売店舗では当然の行為だが…

スーパーや量販店などリアルの小売りにおいては、店頭で商品棚を確保したり、特設コーナーを作ったりするために、メーカー側が小売り企業に販促費を支払うことが当たり前に行われている。ヤフーの主張は、その“当たり前”がインターネット上のモールで許されないのはおかしい、というものだ。

加えて宮坂社長は「広告費を払えばどんな商品でも上位表示できるオプションではない」という点を説明。「現在、ヤフーショッピングの広告枠を買えるストアは全体の1割程度。この売り主さんなら大丈夫だと、ヤフーとして推薦できる、限られたところにだけ開放している」(宮坂社長)

ヤフーの説明にはうなずける点もある。だが、その考え方がユーザーにすんなり受け入れられるかは別問題だ。現に、楽天やアマゾンなど、ほかのEC大手では、今回ヤフーで指摘されたような仕組みは採用されていない。

また、ECではないものの、カカクコムが運営する飲食店評価サイト「食べログ」では、店を検索した際、デフォルトで表示される「標準」という一覧に広告出稿が加味されていることが明らかになり、バッシングを受けた過去がある。その後「標準【広告優先】」へ、現在は「標準【会員店舗優先】」へと表示を改めているが、ユーザーの信頼を裏切りかねない騒動となった。

成長の道筋が見えてきたヤフーショッピング。だが、手数料無料のモデルの中で収益機会を広げ、顧客満足度を上げるためには、今後「ステマ騒動」以外に乗り越えなければならない試練が出てくるかもしれない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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