「落ちこぼれ」「吹きこぼれ」がない学校の秘密 1人の生徒が解く問題数は全国平均の4倍!

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たとえば、まだ一般的にGPS端末が普及していなかった2002年。市民一人ひとりに端末を渡して普段どおりに生活をしてもらい、その足跡からアーティストが地図を作成、ナビゲーションシステムをつくるという社会実験的プロジェクトを実施している。

数年後、そのマッピングの成果に歴史的な情報を組み合わせることで、市内を歩くとその場所にまつわる史実がわかる教育ツールを開発。子どもたちへの教育効果が認められ、現在はベンチャー企業がビジネスとしてサービス展開している。

また近年は、自分たちの手でスマートフォンを製作することで、現在世界中に普及しているスマートフォンにどのような原料、技術が使われ、それによってどのような社会・環境問題、影響が生まれているかを探るというプロジェクトも実施。その結果、鉱物等原材料の採掘や製造過程において児童労働や反政府勢力とのかかわりを減らしたり、バッテリー交換を可能にし、耐久年数を長くしたりといった取り組みを盛り込んでスマートフォンを開発するに至った。

この製品開発には3万5000人がクラウドファンディングを通じて参加、社会的コストが少ないという意味で「FAIRPHONE」と名付けられたそのスマートフォンは現在15万台が納品されている。

市民によるワークショップの様子(写真:未来教育会議)

彼らは、イノベーションは科学者や大企業がクローズドの状態で手掛けるべきものではなく、市民の中から生まれるべきだと考えている。「ワーグ・ソサエティ」は「スマート・シチズン・マニフェスト」なる10カ条の心得を掲げており、その中には、「ツール、知識、サポートをどこで得られるかを知ろう」「テクノロジーを受け入れるのではなく、自分のものにしよう」「スマートデバイスに苦戦している人を助けよう」「答えが浮かぶ前に、質問しよう」「知識と学びを共有しつづけよう」という考え方が並んでいる。テクノロジーの力を認めているからこそ、自らの手で積極的に触れ、そしてコントロールする術を身に付けようという、主体的な市民の姿がそこにあった。

徹底したテクノロジー活用で、より働きやすい環境に

最後に紹介するのは、コペンハーゲンにあるデンマーク第2のテレビ局「TV2」。デンマーク国営放送に次ぐ準国営放送局で、現在約1000人の社員が働いており、8つのチャンネルを運営している。8つのチャンネルを運営し、そこにのせる数多くの番組を制作するために、徹底したテクノロジーの活用を行っている。

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