太陽光パネルは発電効率、コスト面で競争力を確保−−新美春之 昭和シェル石油会長

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太陽光パネルは発電効率、コスト面で競争力を確保−−新美春之 昭和シェル石油会長

国内のガソリン需要低迷に苦しむ石油元売り各社。急ピッチの原油高で川下の給油所への価格転嫁も遅れるなど、収益環境は厳しさを増す。これを受けて、新たな収益柱の本格展開に乗り出す企業も現れた。業界大手の昭和シェル石油は2011年に総額1000億円を投じ、1000メガワットという世界最大級の生産能力を有する、太陽光発電パネル工場の建設計画に着手している。原油価格の上昇局面が続く中、第2の柱として浮上した巨額投資計画の経緯や目算などについて、同社の新美春之会長に聞いた。

--原油価格は調整局面に入っていますが、先高観測はなお根強いのでしょうか。

トレンドとしては強含みで推移するでしょう。エネルギー需要は人口、1人当たりGDP、エネルギー効率の掛け算で決まる。シェル・グループでは2050年までに需要が倍増すると予測しています。

これに対して原油、天然ガスなど在来型エネルギーの供給には限界がある。供給余力のある石炭も環境問題に配慮しなければならない制約を持つ。需要が供給を上回るのは確実で、価格は上振れこそすれ下振れする可能性は極めて低いでしょう。今後の原油価格には省エネへの対応、再生可能エネルギーの普及との兼ね合いもありますが、ジワジワと上昇していくと見ざるをえません。

--中国などの高成長が続く一方で、米国経済の減速などが原油価格の下押し圧力として働く可能性はないのですか。

先進国の需要は横ばい、あるいは日本のように減少が見込まれる半面、中国やインドなど新興国の需要がそれを上回る伸びになりそう。下振れよりも上振れのリスクが大きいと見ているのはそのためです。

ただ、仮に原油価格が1バレル=60~80ドル台といった水準に低下する状況を想定するとしたら、それは先進国経済の痛みが相当に激しいケースで、その場合は中国など新興国にも影響します。そうなれば、需要が供給を下回ることも考えられます。

--原油価格が右肩上がりで推移するならば、一般消費者にも打撃となるガソリン価格の上昇も当面避けられないわけですね。

ガソリンや灯油などの使用量が多い地方の家計には、特に大きなダメージになりますが、現在の1リットル=190円前後の値段は受け入れざるをえないレベルです。欧州では通貨高などを背景に、今春の原油価格急騰以前に日本円換算で200円相当の水準に達しました。日本より低価格で消費者にガソリンを提供できているのは、経済規模の大きな国では今や米国だけです。

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