トランプ大統領に対し共和党の我慢も限界だ 堪忍袋の緒が切れそうな共和党主流派の面々

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トランプ氏が突然トランスジェンダーの受け入れ禁止を宣言したことで、マティス国防長官は対応に追われている。国防総省は、さらに説明を受けなければ命令を執行できないと表明した。

また米大統領選干渉疑惑「ロシアゲート」の調査を巡っては、トランプ氏がセッションズ司法長官を公然と批判したり、側近同士が言い争ったり、モラー特別検察官を攻撃したりと混乱が巻き起こった。

共和党の別のストラテジスト、チャーリー・ブラック氏は、大統領は政策に言及してしばらくそれに専念すべきだと提言し、「場外乱闘」を厳に慎むよう求めている。

オバマケア改廃ならず

オバマケアについて、トランプ氏は共和党上院議員に電話して廃止への支持を呼びかけたが、失敗に終わった。支持率が40%を切った大統領であれば、恐れるに足らないと見られている証拠だ。

穏健派の共和党下院議員、チャーリー・デント氏は「(オバマケア)問題は議会に下請けに出された。大統領は熱心に売り込まなかった。これが失敗の一因だったと考えている」と述べ、トランプ氏の怠慢が改廃の努力に水を差したとの見方を示した。

上院での審議がヤマ場に差し掛かっていた折も折、新広報部長のスカラムチ氏は雑誌のインタビューで、プリーバス氏に加えてバノン首席戦略官兼上級顧問を汚い言葉で非難し、首都ワシントンの注目を一身に集めた。側近らはあっけに取られ、仕事の手を止めてオンラインの記事に読みふけった。

今のところトランプ氏はスカラムチ氏を処罰しておらず、ホワイトハウス内では懸念と困惑が広がっている。

元ホワイトハウス報道官のアリ・フライシャー氏によると、それでもトランプ氏は平気のようだ。「部下の間で派閥争いを煽るのが大統領の運営スタイルのようだ。人が争うのを観戦することに重きを置いているらしい」という。

プリーバス氏の解任以外、トランプ氏がどのような手順で失地回復を狙っていくのかは定かでない。

オバマケア改廃がとん挫した今、大統領は税制改革に狙いを定めているが、その進め方について意見はまとまっていない。減税幅を巡り、側近らの見解は対立している。これはオバマケア改廃法案の行方を決定づけた穏健派と保守派の対立構図にほかならない。

(Steve Holland記者)

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