松本城公園で酒を飲むことは「下品」なのか タテマエだらけのまちづくりが地方を滅ぼす

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そもそも、今年改正された都市公園法とは関係なく、最初から効果的に公園を活用している事例は、実は全国にあるのです。今の夏の季節でいえば、たとえば札幌市の大通公園で開催されている「福祉協賛 さっぽろ大通ビアガーデン」があります。

「さっぽろ夏まつり」そのものは1954(昭和29)年から開始され、この納涼ビアガーデンは1959(昭和34)年の「第6回」の夏まつり(1959年)の一環でスタートしたものですが、当初からこの収益金の一部は、福祉団体に寄付する形式で継続されています。すなわち、雪まつりなどでも知られている大通公園に各ビール会社がブースを設け、約1万3000席が用意され、約3週間にわたって開催されます。

今年64回目を迎えた「さっぽろ夏まつり」。第6回から開催の「福祉協賛 さっぽろ大通ビアガーデン」の収益金の一部は、福祉団体に寄付される。市民自慢のイベントだ(筆者撮影)

私も年によっては、札幌などにいる北海道の仲間とともに、打ち合せを兼ねて夕方から飲みはじめ、その後周辺に二次会、三次会へと流れていきます。その場を訪れると多くの市民が活用するのがわかり、地元以外の人に「こんな気持ちのいいビアガーデンないでしょ!」と自慢げに話をするのがとても印象的です。

札幌の大通公園だけではありません。大阪城公園にいたっては、すでに民間企業に管理運営が任されています。これまでは全額税金によって維持運営されていたわけですが、現在は年間約2.2億円の固定額と、全事業収益の7%が大阪市の収入になっています。

単に資金面のメリットだけではありません。関連記事でもご紹介したように、汚かったお堀の水質浄化も行われて、今年はなんとトライアスロン大会が開催され、事業家の堀江貴文さんなども含め、多くの人が集まるようになるなど、従来になかった利活用が促進されています。

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