「夢の高速鉄道」リニア実現への長い道のり 新幹線開業より前に開発スタート

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日本初の浮上式リニア路線「リニモ」(筆者撮影)

HSSTは、1989年には名古屋鉄道が開発に加わり「中部HSST開発」を設立。その後、日本航空は開発から事実上撤退したが、中部HSSTによる開発の成果は2005年3月に愛知県で開催された「愛・地球博」に合わせて開業した日本初の浮上式リニアモーターカー路線、愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)に生かされた。

時速500km有人走行への挑戦

走行試験を行うMLU001(筆者撮影)

一方、国鉄が宮崎実験線で進めていた超電導方式のリニア開発は、1980(昭和55)年にはそれまでの逆T字型ガイドウェイを現行のU字型に変更し、初の有人車両MLU001による走行試験が始まった。1987(昭和62)年にはMLU001が時速400.8kmを記録し、さらに1995(平成7)年には後継車のMLU002Nが有人走行で時速411kmを達成した。

山梨リニア実験線での走行試験スタート初日、スタンバイするMLX01(筆者撮影)

翌1996(平成8)年には宮崎実験線の走行実験は終了し、1997(平成9)年からはJR東海による山梨リニア実験線の走行試験がスタートした。筆者はその報道公開に参加したが、当時の試験車両MLX01は予想よりも車内が狭いという印象を受け、航空機のYS-11と同程度とメディアで伝えたことがある。この段階では新幹線と比べて輸送力に疑問を持ったことも確かであった。

山梨リニア実験線での試験走行では、1997(平成9)年に設計上の最高速度である時速550kmを記録。その後は対向列車との相対速度が時速1003kmに達する高速でのすれ違い試験などを繰り返し、2003(平成15)年12月2日には有人走行世界最高速度となる時速581kmを記録し、走行安定性を確認してきた。

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