映画「ポケモン」が20周年でこだわったこと 定番を捨て、あえて「最初の出会い」を題材に

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このコメントに対して、同作のエグゼクティブプロデューサーを務める小学館の岡本順哉氏は「僕らは毎年、映画を作り続けてお客さんに届けてきましたが、こういう話は20周年という今しかできないのではないか、20周年にふさわしいのではないかと思ったんです。湯山監督の言葉にもありますが、リメークでもなくリブートでもなく“リファイン”だというのは、クリエーターとしての意思表示だと思っています」と補足する。

昨年7月にリリースされた「ポケモン GO」は従来のファンはもちろんのこと、中高年層にまで支持を集め、社会現象ともいうべき熱狂を呼び起こしたのは記憶に新しい。「ポケモンといえばピカチュウくらいしかわからなかったが、これを機に多くのポケモンの名前を覚えることができた」という意見も多く聞かれた。まさにポケモン入門編として、「ポケモン GO」が果たした役割は大きかったといえる。

ポケモンGOブームは企画立案後、登場キャラには反映

サトシとピカチュウは伝説のポケモン・ホウオウを探す旅に出る ©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokemon ©2017 ピカチュウプロジェクト

となれば、今回の映画は「ポケモン GO」の成功があって生まれた物語なのでは、と思ってしまいそうだが、同作のエグゼクティブプロデューサーを務めるポケモン社の宮原俊雄常務執行役員は「映画の企画を考えたのは、ポケモンGOがリリースされるよりもはるかに前のこと。『ポケモン GO』ありきの企画ではない」とキッパリ否定する。

「ただ、製作中に意識しなかった、といえばうそになります。『ポケモン GO』はリリース当初(『赤・緑』1996年)に発売されたポケモン最初のソフトに登場していたポケモンが多く出現していましたが、今回の映画に出てくるポケモンも『赤・緑』を中心にしています。だから知っているポケモンがたくさん出てくるので、『ポケモン GO』で初めてこのキャラクターに触れた人にも親和性がある物語だと思う」と付け加えた。

アニメ「ポケモン」の20年は、サトシとピカチュウとのきずな、友情を描き出した20年でもある。ポケモン映画が持っている根源的なテーマは、ポケモンとの出会い、育成、そしてともに冒険をするというもの。『ファーブル昆虫記』のような、未知のポケモンとの出会いを描き出したところが特色となっているが、今年の映画はまさにそこが色濃くクローズアップされている。

「アニメを20年間やってきて変わってきたのは、たとえば10歳だった子どもが30歳になって、親の世代になったということ。だから子どもたちだけでなく、かつてポケモンにはまっていた人たちにも楽しんでもらえるような記念碑的な作品にしたかった」(宮原氏)

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