サイバーエージェント「才能開花」人事の本質 社員の「強みを活かす」会社が勝ち残る理由

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「21世紀を代表する会社を創る」を標榜するサイバーエージェント。人事制度でもリードできるか(撮影:今井康一)
かつての日本企業のよい面を残しつつ、時代に合わせた革新的な人事制度を作り上げるサイバーエージェント。2017年7月、取締役人事統括を務める曽山哲人氏が『強みを活かす』(PHPビジネス新書)を出版した。
書籍化のきっかけは、PHP研究所からサイバーエージェントへの取材依頼だった。パナソニック創業者である松下幸之助の哲学が、どのように広がっているかをPHP研究所内で議論したところ、「適材適所」を重視するカルチャーを持つサイバーエージェントが、これを実践しているのではないかという結論になったという。「人材育成」という言葉を使わず、社員の「才能開花」を目指しているという同社は、何を考えているのか。曽山氏に話を聞いた。

サイバーエージェントと松下幸之助の哲学の共通点

――松下幸之助さんの考え方は、サイバーエージェントの人事制度を作るうえで、以前から意識していましたか。

私の中では強く影響を受けていました。具体的には『指導者の条件』 (PHPビジネス新書)という書籍を大事にしていて、何度も折に触れて読み返しています。抜擢人事とか、「人のいいところを見つけて伸ばす」という姿勢が、松下幸之助さんとサイバーエージェントで共通している点かと思います。

また、松下幸之助さんは、信頼関係を作ることがとにかくうまかった。現代ではこの信頼関係の重要性が、また光を浴びてきているのではないかと感じます。それは、デジタルコミュニケーションによって、コミュニケーションが雑になっているからです。相手の感情に配慮せず、一方的に伝える人が増えている。

LINEやFacebookで誰にもダイレクトメッセージを打てるようになるなんて、10年前は考えられなかった。デジタルによって、コミュニケーションが簡便になること自体はとてもよいのですが、メッセージで空気の読めない依頼が突然来たりとか、社内でも遅刻するときに上司は電話で連絡が欲しいと思っているのに、部下はLINEでいいと考えていたりとか……。

どちらが悪いとかではなくて、「当たり前」と考えていることが人々の間でずれ始めている。だからこそ、信頼関係の作り方、感情と感情の結び方の重要性が上がっている、というのが私の時代解釈なんです。

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