ビールで「太らない」「酔わない」ためのコツ 「とりあえず生!」は科学的に正しい

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肝臓にも準備運動、つまり「慣らし」が必要です。初めからグイグイと飲んではいけません。乾杯のビールは一口分程度をクピッと飲んで、3分間待ってください。この間に、空腹を和らげるために前菜をつまむのもありですが、それが仕事絡みの飲み会なら、あいさつや談笑に時間を充てるのもいいでしょう。

たった3分間で、肝臓は体内に入ってきた少量のアルコールに気づき、アルコール代謝機能を高めてくれます。

絶対に酔えない日は昼間から「飲む準備」を整える

楽しく酔うのもお酒の醍醐味ですが、ビジネスが絡んだ宴席ともなると、さすがにそうはいきません。飲みすぎて翌日に響くのも心配です。そんな「絶対に酔いたくない宴席」がある日は、昼間から「飲む準備」を整えておきましょう。

①いつもより多めに水を飲んでおく

体の脱水状態はアルコールの代謝能力を下げ、酔いを招きやすくします。水分は貯蓄できるものではありませんが、酔えない飲み会を控えている日には、朝から適度な水分摂取を心掛けておくことがポイントとなります。お茶に使われる材料には肝臓の働きを活性化させる成分が含まれるものが多くあるので、ウコン茶やクコ茶、そば茶、杜仲茶、マテ茶などもおすすめです。飲む直前になって慌ててウコンを飲むより、日中からこうした準備をしておくことこそが効果的なのです。最低でも、1~2時間前から取り組まれるとよいでしょう。

②「タウリン多め」のランチでアルコールを迎え撃つ

もうひとつポイントになるのが、ランチタイム。ランチは、アルコールを解毒・分解するためのサポート成分を事前に摂取するベストチャンスです。

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肝臓は、食事から得るさまざまな栄養素を使うことでスムーズなアルコール代謝が可能になります。もちろん、アルコールと共に食べる食事も活用されますが、食べ物が消化・吸収されるにはある程度の時間が必要です。ですから、昼間から夜のアルコール代謝に向けた栄養成分を取り入れておくとよいのです。

たとえば、メインはタウリン多めのカキやイカ、アジなどがおすすめ。これらの食材には、胆汁の分泌を促進し、肝臓機能を活発にさせる働きがあります。シジミみのおみそ汁付き定食などもいいでしょう。シジミに含まれるオルニチンはアルコール代謝の過程で発生するアンモニアを分解する手助けになります。

③食後やおやつのお供にはハーブティー

ミルクシスルやアーティチョークなどを使ったハーブティーには肝臓の働きを活性化させる成分が含まれています。そこまで細かくなくても、消化に時間がかかる脂肪分を含んだメニューは腹持ちがよく、「すきっ腹にアルコール」を回避してくれることに役立ちます。

馬渕 知子 マブチメディカルクリニック院長

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まぶち ともこ / Tomoko Mabuchi

東京医科大学医学部医学科卒業後、同病院に勤務。その後マブチメディカルクリニックを開設、現在に至る。専門は内科・皮膚科学、アンチエイジング医療、分子整合栄養学。あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。「林修の今でしょ!講座」「めざましテレビ」などのTV番組にも出演。

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